(社)福井県栄養士会地域活動栄養士協議会
中川 栄子
福井県はどこ?
日本海に面した本州の中程に位置し、観光地として東尋坊や永平寺、食べ物では越前ガニで皆さんには知られているかと思いますが、地図の上での場所はどこ?という人も多いようです。
今回は、その福井からの発信です。
平成19年6月9日に福井で開催された第2回食育推進全国大会食育シンポジウムで発表した内容を主体に紹介します。(重複していますがご承知おきください)
「高校における食の選択力向上出前講座」について
これは「食事バランスガイド」を用いた高校生への食育推進出前講座です。県下の高校生にも朝食の欠食という傾向がみられるなど食生活の正しい知識の普及が求められています。そこで私達は県の食育推進事業の一環として県内の高校生に食育出前講座を実施しました。
目的
高校生一人ひとりが「食事バランスガイド」を用いて、次のように自分の食生活を評価できることを目的としました。
①1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかを決める
②食事を整えて食べる
③1日の食事の摂取量をセルフチェックできる
期間及び準備
平成17年10月~平成20年3月
平成17年10月に地域活動協議会のメンバー5人でワーキンググループを結成し、講座で使用する教材、授業の進め方のマニュアル等の作成をしました。
そして、授業のシュミレーションやプロの人から話し方、アクセント等の指導も受けてレベルアップを心がけました。
実施状況
平成17年度は8校、18年度は6校、19年度は9校で、延べ数23校になり、この3年間の受講者数は1,751名でした。また、3年間毎年出前の授業をした高校もありました。
授業の方法
1時限45分の中で講義20分、演習20分、まとめ5分の配分で授業を行いました。授業は講師、助手役の2人で担当し、「食事バランスガイド」の5つの料理区分及び量的な基準と数量の数え方に時間をかけ生徒が理解できるようにしました。演習は生徒に2回の食事のバランスチェックと発表をしてもらいます。この作業はワークシートと「主な料理・食品つ(SV)サイズ一覧」で1日の献立作成とバランスコマでのチェックをします。
また、養護学校の高等部では、90分授業で折り紙でコマを折ったり、ゆっくりしたペースで講義や演習等を行いました。


授業風景〈発表〉 〈折り紙〉
演習よりわかったこと
・男女とも全般的に副菜、牛乳・乳製品の摂取量が少ない。
・男子は副菜、果物の摂取量が少なく、主菜の摂取量が多い。
・女子は全般的に摂取量が少なくその中でも主食、副菜の摂取が少ない。
・高校生になると給食もないので牛乳・乳製品を飲まない、食べない傾向が出てくる。
しかし、2回の演習で自分の食べ方の見直しができ、2回目は1回目よりバランスが良くなっている生徒がほとんどです。
アンケート
出前講座の授業をしたある高校で、食についての意識調査のアンケートを実施しました。授業の最後に実施し生徒が短時間で記入できるよう、設問は6問で、朝食の摂取状況、おやつ・夜食の摂取状況、出前講座評価等です。
4クラスで135名の回答を得ました。
主な結果は次の通りです。
(注)・バランス・理解・・・
バランスの良い食事が大切なことが理解
できた
・3食/日の必要性・・・
1日3食、毎日食べるようにする
・自分の食事を・・・
自分の食事を見直すきっかけになった
以上の結果より、朝食を「毎日食べる」生徒が8割、「ときどき食べる」と「ほとんど食べない」生徒は2割程で、欠食理由として重複回答ですが「時間がない」が7割、「朝食が用意されていない」が3割です。また、おやつは「毎日食べる」と「ときどき食べる」で8割を超え、スナック類、パン類を好んで食べているようです。これらからみて、朝食欠食で1日の必要量はとれにくい事も分かり、おやつの食べ方次第ではバランスを悪くする結果になることが伺えます。
しかし、この授業を受けて生徒がバランスの良い食事の大切さや自分の食事を見直すきっかけや必要性を感じてくれたことを「出前講座評価」より分かり嬉しく思います。
なお、この結果はそれぞれの設問結果についてのコメントを添えて高校に送り、後日お礼の返事をいただきました。
最後に
私達は、高校で授業という初めての経験で新鮮さもありましたが緊張もしました。生徒もおそらく栄養士という校外の講師でとまどいもあったことでしょう。しかし終わってみて、高校生の食に関する関心の程度を直に触れたことは私達にとって有意義だったと思います。また、生徒達は食生活では自立できるようになる時期であり、目的でも掲げましたが「食事バランスガイド」の使い方を知り、食事作りに生かして欲しいものだと思います。
ここで、ある高校の生徒からの感想を紹介します。(原文のまま)
私は朝起きるのがギリギリなのであまり食べていなかったのでちゃんと食べれるようにしたいです。料理例の1つ分とか2つ分とかの量が盛り方によって違うので難しいなと思いました。カロリー表示は見るけどあまり気にしていなかったので気にして食べるようにしたいと思います。(女子)
今回の講座とても参考になりました。自分のコマは副菜が少なく、主菜がとても多い構造でした。人が食べたいと思うものと、本当に体が欲しているのは必ずしも一致しないものなんですね。むしろこの2つを合致させることができて本当に心身にとって良い食事ができるのかなと思いました。(男子)
それからもう1つ紹介があります。
福井県では「福井県版食事バランスガイド」を県健康福祉センターが中心となり地域活動協議会の栄養士も協力して作成し、平成20年度より使用しています。A5版の大きさで15ページあり、働き盛り期、妊娠初期、幼児期、児童期、思春期の5期に分け、バランスコマや1日分の献立等がイラストで編集されていて、また、料理例に伝承料理等も記載されています。この1冊で子供からお年寄りまで使用できる使い勝手のよいものとなっています。
健康長寿なふくいの食事バランスガイド(福井県版食事バランスガイド)