【厚生労働省】子育て世代包括支援センター業務と産前・産後サポート事業のガイドライン発表
2017/08/15
ニュースのポイント
- 子育て世代を身近な地域で親身に支える仕組みを整備
- 継続的、包括的に支援するために各関係機関との切れ目のない連携を
- 地域での母親同士の仲間づくりを後押しし、孤立を防ぐことが重要
厚生労働省は、母子保健施策の推進として、「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」と「産前・産後サポート事業ガイドライン」および「産後ケア事業ガイドライン」を発表した。いずれも、平成28年度の子ども・子育て支援推進調査研究事業において各研究班で試案をまとめ、その後に寄せられたパプリックコメントを参考に修正されたもの。社会やライフスタイルの変化で、核家族化や地域での住民同士の助け合いの有無により、子育て中の親の負荷が高まりやすく、また、子育てに関する情報に振り回されるなど親が子育て中につまずくリスクも高いことから、産前・産後から子育て期の各自治体による支援事業を整備することが狙い。
子育て世代包括支援センターは、妊産婦や乳幼児らの状況を継続的・包括的に把握し、妊産婦と保護者の相談に保健師らの専門職が対応、必要な支援を関係機関と調整し、切れ目なく支援することで、育児不安や虐待の予防に寄与している。しかし、産科・小児科の医療機関や保育所・幼稚園、保健所などの関係機関それぞれの連携が不足しており、継続的に把握することが難しかった。このガイドラインでは、①妊産婦・乳幼児等の実情を把握すること、②妊娠・出産・子育てに関する各種の相談に応じ、必要な情報提供・助言を行うこと、③支援プランを策定すること、④保健医療又は福祉の関係機関との連絡調整を行うこと、の4点を必須業務に挙げ、妊産婦や保護者と継続的な関係を築くための具体的な取り組みも示されている。
産前・産後サポート事業ガイドラインでは、子育て世代包括支援センターの利用者のうち支援を受けることが適当と判断された妊産婦を対象とし、家事支援や専門的なケアを除いた生活上の困りごと、不安を軽減するための「相談、支援」とされ、地域での母親同士の仲間づくりをうながすなどして、安心して妊娠期を過ごし、育児に臨めるようにサポートすることが目的として示された。産後ケア事業ガイドラインでは、さらに家族等から育児等の十分な援助が受けられない産婦とその子を対象とし、母親が分娩施設退院後から一定の期間、居宅や病院、自治体が設置する場所などで母親自身がセルフケア能力を育み健やかな育児ができるよう支援することが目的とされた。いずれも、利用者の選定や実施の方法が明記されており、実施担当者の研修をしたうえで身体的・精神的にストレスを抱えている利用者に寄り添い、地域で育児をしていくうえで必要な社会的資源の紹介などを行っていく。
管理栄養士・栄養士も専門職として、これらの事業の実施担当者もしくは関係者となることが予想される。妊娠期および授乳中の母親の食事、子どもの離乳食から成長期への食事は、双方の健康の根幹を成すことから、対象者が安心して出産・育児に臨めるよう、専門的知識および職業倫理を持ち合わせたうえで、これらのガイドラインに則って支援をしていく必要がある。
■「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」
■「産前・産後サポート事業ガイドライン」及び「産後ケア事業ガイドライン」