実践のポイント
地域ケア会議の流れ
(大分県の例)
項目 | 所要時間 | ポイント |
---|---|---|
①資料の読み込み | 約5分 |
●ポイントを絞って資料に目を通し、おおよその状態像をイメージすること ●参加者は、自らの専門分野を中心に内容を確認する。例えば保健師・看護師は医療リスクの高い人の生活上の注意点や服薬内容に対して支援計画が妥当かどうかという視点 社会福祉士は、独居や認知症ケース等に対する権利擁護的な視点 ●助言者は、自らの専門分野を中心に内容をチェックする |
②プラン作成者の概要説明 | 約3分 |
●現在の状態(生活機能の低下)に至った個人因子・環境因子を簡潔に説明 (自立を阻害している背景を洞察することが重要) ●生活機能評価の解説 → 改善可能な機能・ポイント |
③事業者からサービス計画の説明 | 約3分 |
●利用するサービス事業者からサービス計画についての説明 (運動器等の評価をしている場合はその内容) |
④全参加者からの質問・意見 | 約12分 |
●司会者が課題を整理して状態像を絞り込んだうえで進行する ケースの本質(自立を阻害している要因)や支援計画・サービス計画の注意点などについて、端的に言語化してまとめ、共通認識(抽出した課題)に漏れが生じないようにする ●OJTの場であることを意識して、包括支援センターの職員に発言を促す (自ら進んで発言しようとしない職員を指名して発言させること、多少的が外れていてもOK。指名されるという意識付けが参加者に緊張感を与えることを意識すること) |
⑤まとめ |
約2分 合計約25分 |
●ケアマネジャーや事業者が当面行う必要がある課題(医師への確認、専門医の受診、再アセスメント、家族からの事情聴取など)がある場合には、その漏れがないよう最後に確認して、本人・家族への説明と合意形成を図るよう促す ●6ヶ月後や12ヶ月後などの予後について確認する |
助言のポイント
ステップ | 専門職としての視点、具体的な確認や推察の内容 |
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事例の理解と確認 |
・食事摂取状況、排泄状況、服薬状況、病識の有無、自立意欲、家事能力と意欲、身体状況と機能向上、介護者の状況、生活歴と生活状況、金銭面
等について確認する ・かかりつけ医による栄養上の意見や、病院での栄養指導の内容を確認する ・栄養に関わるキーマンを確認する ・食事環境で支障はないかを確認する(孤食による食欲低下、衛生環境、台所の機能性、買物の状況、家族関係、支援者等) ・閉じこもり傾向や活動低下がみられる場合に食生活の状況を確認する |
課題の明確化と背景要因の確認 |
・本人の状態・状況に合わせた食事摂取がおこなわれているかを確認する (病状、服薬状況、食習慣、認識、身体状況、摂食状況等) ・低体重だけではなく、疾病の重症化予防、過体重や栄養の偏り、不足による活動性低下の予防も検討する ・栄養面だけでなく、生活全般からみて、活動性の向上につながる項目をみつける |
目標と支援内容の確認 |
・栄養状態が改善することにより、意欲向上につながる可能性を検討する ・プラン作成担当のプラン目標に合った個別プランが立てられているか、栄養状態の改善につながる目標になっているかを確認する ・栄養及び食生活の視点から、介護予防や疾病の重症化予防につながるかを確認する ・本人が実行可能な短期目標を設定しているか確認する ・他職種が関わるサービスに、食に関する支援の項目がある場合、本人の状態に合わせた内容になっているか確認する ・本人の意思を踏まえ、負担にならないよう食生活の設定を検討する |
実践につながる助言のポイント |
・かかりつけ医だけでなく歯科医師や薬剤師等とも連携し、栄養面だけでなく、生活全般を踏まえた視点で助言する ・食事や体調のコントロールを本人や家族で行うことができるよう助言する ・目標達成に向けた行動変容を導くためにも、短期間で出来る目標を設定し、達成感を得られる工夫をする ・本人や家族に、栄養改善の必要性が受け入れられなかった場合、本人や家族が理解できそうなポイントを助言する ・栄養士の介入がない場合、他職種の介入時に行ってほしい助言を提案する ・栄養支援に関する地域資源が近隣にない場合、地域課題として検討する |
参加するケア会議の市町村での食事に関係するサービス、配食サービス、訪問介護サービス、居宅療養管理指導、地区のサロン等を知っておくこと。
ケアプランを確認するポイント
ケアマネジャーが作成するケアプランについて、流れを知り、数分間で要点をつかむようにします。その際、全体的に今の状況を見ながら、自分の専門職域でのポイントはきちんと押さえます。目標と照らし合わせ、今の状況で、どこを改善すれば達成できるのかを考えます。
大分県の事例をもとに、ポイントをお伝えします。
利用者基本情報
性別、年齢は本人の状態像をイメージするためには重要な要素
ADLの状態を確認する最も重要な要素
認知機能に課題があるかどうかを確認する
例えば、このケースの場合では認知機能に問題がないことになるが、プランに認知機能の課題があるとなれば確認する必要がある
・現在の要介護度と前回の介護度を比較して重度化している場合はその原因を確認する
・世帯の所得状況によっては現実的な支援計画の作成が求められる(例えば限度額を超えるサービスを利用する場合などは小規模多機能を選択するなど)
・世帯構成の確認は絶対落とせないポイント
・独居の場合は近所の支援(見守り等)が得られるかどうかも重要な要素
・高齢夫婦のみの場合は、どちらか一方が介護している状態が多く、その介護者が一時的に入院等により介護できなくなった場合の対応策も必要
・子どもが介護している場合などは、介護者の疲労度も考慮することが必要
・現在の状態に至った経緯を確認することができる情報が記載されている。よくわからない場合は質問する
・どのような人生を過ごされたかは、本人の人物像をイメージするために重要(特に認知症の場合は、ケアに対するアプローチのヒントになる場合が多い)
・一日の過ごし方で食事に問題がないかの確認
・特徴的な要素があれば、助言の時の材料にする
・日常生活の活動度を推測して生きがいを見つける
・家での役割があるかどうかの確認
・趣味や特技・近隣との関係もその人を知るポイントとなる
・既往歴・現病歴の確認は、重要なポイントとなるので確認する
・既往歴・現病歴をみて病気と食事の関係を見る
・薬の内容(効能等)も確認する(食欲に関連する薬はないか等)
・薬の量(種類)に着目する➡薬剤師が出席なら投げかける
・現在使われている公的・非公的サービスの確認をする
介護予防のアセスメント[1] 基本チェックリスト
・生活機能で買い物等が自分でてきているかどうかを確認する
・BMIの確認と体重変化の確認体重減少や増加があった場合は原因をみる
・体重変動がなく、関連した疾病がなければ無理せずに現状維持
・身長がとても低い場合は円背を確認する
・口腔環境をみてしっかり食べられる口であるかの確認をする。歯科衛生士が参加の場合は任せる
・21~24の項目で「はい」が多い場合は食欲の関連を聞く
・食生活がどうなのか知ることができるところ
・気になるチェック項目があれば質問のときに原因を聞く
・排泄で心配がある人は内容(下痢・便秘)を聞き疾病との関連があるか、水分が不足していないかを聞く
・口腔で気になるところはチェックして、軟らかいものばかり食べていないかを聞く
・認知症の有無。あれば食生活との関連を聞く
・買物・調理・食事摂取量に問題はないか確認
・疾病で食事内容の注意事項は何があるのか、本人・家族はそれを理解しているかの確認
・注意事項を守れていない場合はその原因を聞く
課題整理総括表
自立を阻害している要因を見る!
例)過体重の原因は?
間食内容?
食事量が多い?
有効な声かけの方法、サービスの利用は?
【ADLの確認】
●ケアマネジャーのアセスメントを確認する
・基本情報の日常生活自立度等の整合性を確認する。疑問がある場合は掘り下げることが必要
・食事に問題がないか確認(あるとすれば何が原因か)
●排泄も食事に関係があるので確認する
(便秘・下痢があれば原因を聞く)
【IADLの確認】
●個人因子と環境因子を整理する
●各項目の機能低下がADLの状態によるものか、認知機能の問題なのかを確認する
●できないことと、していないことを見極める
●社会参加は改善した機能を維持するためには重要な要素であるので、ADLの改善が可能であるならば、この項目の改善を必ず目指すこと
【共通】
●この資料とケアプランがリンクする
・事後予測が改善可能となっていれば、そのためのサービスが必ずプランに記載されることとなる
介護予防サービス・支援計画書(ケアマネジメント結果等記録表)
1日の目標・1年後の目標が実現可能で具体性がある目標になっているか
課題からの具体的な目標の抽出が適切か
・再梗塞を予防する
・体重管理
・減塩・水分摂取等
・課題整理総括表の改善可能な内容が入っているか?
本人・家族の希望も確認!
プラン作成者との合意形成ができているか
地域ケア会議報告書の書き方のポイント
地域ケア会議アドバイザー事業実績報告書(記入例)
実践・事例集
全国の事例から、よりソリプロジェクトメンバーにて、ナレッジマネジメントの得方、ケアマネジャーへのつなぎ方として、まとめました。
管理栄養士・栄養士が参加する意義を考える
利用者には様々な人がいます。そして家族にも様々な人がいます。利用者が、なぜ介護を受けなくてはいけなくなったかの背景も様々です。皆さん自宅で、これまでのように過ごしたいと思っています。
何が原因でそれができなくなったのか?何を支援すれば、今までのように自宅で生活できるのか?ケアマネジャーが、しっかりとアセスメントしてプランを立てています。そのプランに、専門職だから気づくことを伝え、利用者が今の地域で自分らしく生活できるようにサポートする方法を助言します。その結果、利用者にあったQOLの向上につながるようになるとよいと思います。
地域ケア会議は、ケアマネジャーが利用者のために一生懸命たてたプランをみて助言する機会です。助言の内容は、批判的ではなく、ケアマネジャーが利用者にアセスメント・モニタリング、プラン作成・修正するときに参考になるものにします。助言者である管理栄養士・栄養士は、その後、容易に対応できるよう助言し、ケアマネジャーやサービス事業所が実行できることを伝えます。助言した内容は、その場にいる皆、他(多)職種のOJTになるものです。地域ケア会議に参加することで、地域で顔が見える関係性ができます。
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