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【栄養ケア・ステーションの最前線 #04】企業の一部署が栄養ケア・ステーションに、 自社の強みを活かした配食サービスの開始に注目

栄養ケア・ステーションの最前線 #04

認定栄養ケア・ステーション ヘルシーネットワークつながる

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地域の栄養ニーズから広がるネットワーク

 東京都日野市にある、主に病態用・介護用の食品を取り扱い、宅配事業と通信販売事業を担う株式会社ヘルシーネットワーク。この会社の一つの部署が、認定栄養ケア・ステーションとなっており、同社で20人ほどいる管理栄養士・栄養士のうち、管理栄養士4人が担当しています。
 同社で認定栄養ケア・ステーションを業務とするようになったいきさつについて、同社の管理栄養士の中村玉絵さんは、「当社が取り扱う介護食品などを自宅で使ってくださっている方たちをとおして知り合った、訪問看護師さんやケアマネジャーさんから、介護食品を使うほどでもない高齢者の方たちや、市販品を使うことが金銭的に難しい方たちにもサポートしてもらえたら...という相談をいただき、私たち自身も地域の方たちにもっとかかわりたい、お役に立ちたいという思いが強く、認定栄養ケア・ステーションの部署を立ち上げることになりました」と、話します。

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 病院を退院したり、介護老人保健施設から自宅に戻り、在宅で療養することになると、食事についての困り事の相談は、本人または家族から身近にいる訪問看護師やケアマネジャーに届くことが多くあります。各地域ですぐに在宅訪問をして対応することができる管理栄養士・栄養士が求められているなかで、同社では顧客に限らず、地域住民全体にアプローチできる部署として認定栄養ケア・ステーションを開設したのです。

栄養相談は全国からの電話に対応、所在地域では食事の対面サービスも

 認定栄養ケア・ステーション ヘルシーネットワークつながるの事業は、主に5つに分類されます。
1. 栄養相談
2. セミナー・研修会の講師
3. 健康・栄養関連の専門的知見に基づく成果物(情報)の提供
4. 料理教室の講師
5. 南多摩地域栄養士協議会の事務局

 メイン事業である栄養相談は、電話と対面の2種類があります。
 週3日(月・水・金)は午前9時から午後5時まで電話での相談に応じています(通信費を除く相談料は無料)。2017年から東京エリア限定で始め、2018年4月以降は全国からの電話に対応しています。1日当たり平均して20件ほどの電話がかかってきており、同社が取り扱っている介護食品・病態用食品の詳しい使い方や、組み合わせ方について問い合わせがあるほかに、「病院でカリウムを制限するようにと言われたが、こんな料理を作っても大丈夫ですか?」など、自宅療養をしていて気になったことを尋ねてくる電話も多いといいます。
 認定栄養ケア・ステーション業務に従事する4人の管理栄養士は、病院や高齢者施設等での勤務経験があります。さらに、中村さんは「電話での相談を受けるうえでも、在宅などの対面で継続的に栄養ケアに携わっていないと、適切なお答えをすることは容易ではありません」と話し、管理栄養士が実際の現場(在宅)に出向く必要性を強調します。
 そのため、火曜日、木曜日は、対面で有料の栄養相談に応じており、「お食事の見守りお届けサービス」と「お食事のコーディネートサービス」「栄養支援型配食サービス」の3つのサービスを提供しています。いずれも地元の日野市に限定しています。

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 お食事の見守りお届けサービスと栄養支援型配食サービスは、同社で取り扱う食品を注文した顧客のうち希望する人の自宅に、管理栄養士が自ら訪れ、喫食状況や体調の変化などを確認し、相談に応じます。
 また、お食事のコーディネートサービスは、食品の注文をしなくても自宅に管理栄養士に来てほしいという家庭を訪問するもので、診療報酬の在宅訪問栄養食事指導および介護報酬の居宅療養管理指導では対応しない健康管理や、日々の献立の不安解消、肉や魚の食べやすい調理のアドバイスを求められるなど、食事と栄養に関するさまざまな相談に応じています。

厚生労働省の政策の実現、健康支援型配食サービスの実施に向けて

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 さらに、2020年になって新たに進めている取り組みが、「健康支援型配食サービス」です。これは、厚生労働省が2019年5月に発表した「健康寿命延伸プラン」の中の介護予防・フレイル対策、認知症予防の中に盛り込まれている政策の1つで、高齢者の通いの場などに管理栄養士や歯科衛生士といった専門職と配食サービス事業者が連携し、フレイル予防のための講座と配食サービスを使った昼食を用意して、高齢者の口腔機能と栄養状態の維持・改善を目指すというもの。2022年度までに全国の市町村のうちの25%、70拠点の栄養ケア・ステーションでの展開が目標とされています。
 日野市内でも、この健康支援型配食サービスの取り組みをスタートさせようと、認定栄養ケア・ステーションヘルシーネットワークつながると、(公財)社会教育協会ひの社会教育センターが連携し、同センターが実施している「いきいき健康クラブ」(60歳以上対象)で、共食の場を作ることを目指しています。共食の場での料理は、同社が所在地域で展開する栄養支援型配食サービスをベースに、利用者に適した献立を作成し提供します。
 この日は、いきいき健康クラブの参加者のニーズを探るため、管理栄養士の石橋佳奈さんと中村さんが日野市内の東部会館を訪れ、「ここに集まっている皆さんと、地域の管理栄養士が一緒に勉強をしたり、お弁当を食べたりして、皆さんのこれからの健康につなげていきたいと考えています」と、企画の趣旨を説明しました。続いて、献立についてのクイズを出したり、参加者のふくらはぎの周囲長を測るなどしながら、ざっくばらんに健康の相談に答え、次回(約3週間後)のいきいき健康クラブでは共食の場も実施することに決まりました。
 ある参加者の女性は、「ここに来るといつも皆で大笑いをして楽しいんです。お弁当を食べたりして、楽しい計画をしてもらえるのも楽しみです」と、共食の場を心待ちにしている様子でした。

スポーツクラブとのコラボレーションも

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 認定栄養ケア・ステーションヘルシーネットワークつながるでは、2019年の夏、日野市内のスポーツクラブ「トムスポーツアカデミー」で、日本栄養士会が主催する「栄養の日・栄養週間」のイベント「栄養ワンダー」を開催し、管理栄養士の知久直美さんがクラブの会員向けに「暑い夏を運動と食事で乗り切ろう〜カラダよろこぶ栄養の話」のミニ講座(約30分)と個別栄養相談会を実施しました。会員に好評だったことから、その後もラウンジを使ってのミニ講座を依頼されています。
 所長の田中秀明さんは、「うちのスタッフも各自で栄養の勉強をしているものの、プロテインなどのサプリメントの話はできても、お客さまに多い50〜70歳代の普段の食生活についてアドバイスをするのは難しい。そこはプロの管理栄養士さんに時々来てもらって任せられると安心です」と話し、将来的にはクラブの会員向けにオプションで栄養カウンセリングも組み入れたいと考えています。

管理栄養士・栄養士同士のつながりも必要、南多摩地域栄養士協議会事務局の活動

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 認定栄養ケア・ステーションの開設によって、このように同社の管理栄養士の仕事の幅が広がっていくなかで、中村さんたちは「地域には自分たちの栄養ケア・ステーションでは解決できない栄養の課題もあり、同職種である管理栄養士・栄養士同士のつながりも必要」と考え、2019年2月に地域の管理栄養士・栄養士が協働し南多摩地域栄養士協議会を発足させた際、その事務局を担うことにしました。南多摩地域とは日野市、稲城市、多摩市、八王子市、町田市の5市で、現在の会員は病院、高齢者施設、学校、薬局、地域活動など多分野の管理栄養士・栄養士65名。これから結束を固めていくところです。
 日野市内では栄養士協議会の会員が15人程度おり、認定栄養ケア・ステーションヘルシーネットワークつながるが事務局としてメンバーを補佐しつつ、市が開催したオレンジフェス(認知症予防イベント)に出展して市内の各高齢者施設の食事を紹介したり、個別に栄養相談に応じたりしました。また、同社の会議室に集まって、認知症サポーターステップアップ講座を任された際の統一の資料作りを検討するなど、日野市内の管理栄養士・栄養士の連携は密になってきています。
 介護老人保健施設ロベリアの管理栄養士、大島寛美さんは「認定栄養ケア・ステーションができたことで、老健から自宅に戻った方のその後のサポートをしてもらえるようになり、心強いです」と、このつながりの効果を話します。
 企業の中に公益性のある認定栄養ケア・ステーションが設置されたことで、地域からの信頼はより幅広く集まっています。

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