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厚生労働大臣表彰、日本栄養士会表彰を授与
全国栄養士大会では、1400万人の栄養課題の解決が説かれる

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 平成28(2016)年10月24日(月)、平成28年度全国栄養士大会・全国栄養改善大会が神戸市の神戸国際会議場で開催されました。全国栄養士大会は、全国から管理栄養士・栄養士が集まり、管理栄養士・栄養士が一致して取り組むべき課題を協議、その課題への対応や実践の方法を共有するもので、平成17年(2005年)から毎年開催されています。一方、全国栄養改善大会は、栄養改善のための先駆的な活動に従事し顕著な功績が認められる管理栄養士・栄養士等を表彰する大会で、厚生労働大臣表彰・日本栄養士会表彰などが授与されます。厚生労働省からは健康局栄養指導室の河野美穂室長が来賓で出席されました。また、前日の23日(日)には自由集会もあり、職域ごとの研修会や、戦略領域でもある栄養ケアプロセス研修会が行われました。

 今年度の全国栄養士大会のテーマは、「地域で高齢者が元気に過ごすために、管理栄養士・栄養士は何をすべきか」で、278名が参加しました。
 開会に先立ち、兵庫県栄養士会の榊由美子会長が「医療から在宅、施設から在宅という国の流れのなかで、私たち管理栄養士・栄養士はどのような役割を担うべきか、基盤づくりが求められています。一方で、災害時の支援体制も各都道府県栄養士会でしっかりと構築していかなければなりません。本日の講演と鼎談から学び、将来を見つめ、若い世代を育てる責任をもって、全国の栄養士会が手を取って進んでいきましょう」と挨拶しました。

1400万人の栄養課題を解決せよ
フレイル改善のエビデンスは"活動と栄養"にあり

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 特別講演には、桜美林大学老年学総合研究所所長の鈴木隆雄先生が登壇し、「高齢社会における食と栄養、運動の意義 ―科学的根拠に基づく健康の維持と虚弱化予防―」と題して、今日から将来にかけての問題とその対策について数々の研究結果をもとにお話されました。まず鈴木先生は、前期高齢者(65~74歳)と後期高齢者(75歳以上)を健康度が異なる集団として分けて考える必要があるとし、今後、前期高齢者:後期高齢者の人口割合は2030年に1400万人:2270万人(1:1.6)、2055年には1260万人:2390万人(1:1.9)と推計され、後期高齢者の割合が急増していくことを示しました。そして、心身機能の減衰が顕在化してくる後期高齢者へのアプローチが非常に重要であると強調しました。
 特に、フレイル(筋力や活動、活力が低下している状態)は、適切な介入がなされれば健常な状態に戻ることができる大事な時期であると説明。フレイル状態の高齢女性に対する筋力とQOLをめざした運動と栄養介入について、自身のランダム化比較試験を紹介し、結果として、筋力強化とバランス機能の向上を目的とした週1回1時間の運動教室と、たんぱく質とビタミンDを強化した料理教室(3回/3か月)でフレイルの改善効果が確認されたと報告しました。認知症についても、軽度認知障害(MCI)の時期のアプローチが重要で、健常な状態への回復が見込めることから、頭を使いながら運動をするプログラム(80回/年)の研究結果を紹介し、「Activity is the best medicine(活動こそが最良のお薬だ)」とまとめました。
 ビタミンDについては、高齢女性に限らず10~20代女性の血中濃度が極めて低いデータを挙げ、UVカットのやりすぎに注意を呼びかけました。ビタミンD欠乏により循環器疾患、大腸がん、乳がん、高齢期の転倒のほかに、将来生まれてくる子どものくる病も懸念されることから、管理栄養士・栄養士の栄養の指導のがんばりどころであると、会場の参加者に呼びかけました。

在宅医療、在宅介護において、栄養の分野を地域で進めていくことが重要

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 鼎談では、鈴木隆雄先生に、神奈川県立保健福祉大学・中村丁次学長、日本栄養士会・小松龍史会長が加わり、「在宅医療・介護での管理栄養士・栄養士の新たな活動分野」について話し合われました。
 まず、小松会長が「この超高齢社会において我々管理栄養士・栄養士のニーズはどこにあると考えたらよいでしょうか?」と尋ねたところ、鈴木先生が「先ほど話した日本人女性のビタミンD不足については、私は10年以上前から懸念し研究を進めてきましたが、今まで情報がきちんと伝わっていませんでした。こうした栄養学のエビデンスは常に出てきているので、まず管理栄養士・栄養士の皆さんにはアンテナを張りめぐらせていただきたい。そのうえで栄養学的にどのようにしたらよいかを国民一人ひとりに伝えるのは、みなさんがもっとも信頼のある職種であり、重要な役目であると思います」と答えました。中村学長は、「生活習慣病に罹患しながらフレイルの状態であるといった複雑な栄養状態をもった高齢者がますます増えてくる。管理栄養士は、このDouble burden malnutrition(栄養障害の二重負荷)に対応できる唯一の職業人であると私は考えています」と述べました。
 一方、在宅に的を絞った討論では、鈴木先生が「在宅医療、在宅介護で今、抜けているのは口腔歯科と栄養。この2分野を地域で進めていくことがまだまだ足りていない」と課題を挙げました。中村学長は「管理栄養士・栄養士はそれぞれの地域で調達可能な食材・食料品、高齢者でも利用しやすいレストランや宅配サービスなどの情報も持ち、栄養と食事に関する総合的な力を発揮しなければならない」と述べ、小松会長は全国で展開されている栄養ケア・ステーションを充実・強化していくことを主張しました。最後に、鈴木先生から「低栄養の専門職は管理栄養士です。高齢期のフレイル対策には管理栄養士・栄養士にしっかりと対応していただきたい。個別にアプローチをしていく草の根活動は我々にも管理栄養士・栄養士の皆さんにも必要です」と会場の参加者を激励しました。

厚生労働大臣および兵庫県知事からも祝辞

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 午後に開催された全国栄養改善大会では、まず全国栄養士養成施設協会の滝川嘉彦会長が「管理栄養士・栄養士は国民の質の高い生活につながるようにますます精励してほしい。本日表彰を受けるみなさんには後進の育成を期待しています」と挨拶しました。
 厚生労働大臣表彰は、栄養改善事業、栄養士養成、栄養指導業務に携わり、その功績が顕著な管理栄養士・栄養士、特定給食施設に授与されるもので、栄養改善事業功労者13名、栄養士養成功労者28名、栄養指導業務功労者55名、特定給食施設16施設が表彰されました。また、日本栄養士会表彰として、栄養改善業務および給食管理業務、調査研究に多大な功績がある管理栄養士・栄養士に栄養改善奨励賞(萩原賞)2名、栄養改善奨励賞(森川賞)1団体が選ばれました。さらに会長表彰では、50年以上管理栄養士・栄養士として活躍し後輩の育成指導に功績のあった50年業務貢献者123名、25年以上活躍し業務に功績が認められる25年業務貢献者764名が表彰され、都道府県栄養士会感謝状が4県に授与されました。
 厚生労働省健康局河野美穂栄養指導室長より厚生労働大臣からの祝辞が、兵庫県太田稔明健康福祉部長より兵庫県知事の祝辞がそれぞれ読み上げられ、受賞者を代表して兵庫県の山本医津子さんが「この受賞を励みに、なお一層の研鑽を重ね、それぞれの活動に精進してまいります」と謝辞を述べて、閉会しました。閉会後は、授与された賞状を手に家族と記念写真を撮る管理栄養士・栄養士の姿もあり、明日からの業務をさらに躍進させる1日となりました。

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