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経営力向上に、管理栄養士・栄養士あり! 「健康経営実践のための食と食環境整備のすすめ」セミナー、開催

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 「人生100年時代」と言われる今日。年を重ねてもさまざまなことにチャレンジをしてイキイキと過ごすためにも、健康は欠かせません。しかし一方で、高齢になる前の段階で生活習慣病やうつ病を発症するなど、社会を支える働き盛りの人たちに体調の悪化も見られます。

 企業が従業員の健康を経営課題としてとらえて実践する"健康経営"の理解を深めるために、また働く人の健康を支える管理栄養士・栄養士が健康経営に貢献するために、2月8日(木)、(公社)日本栄養士会勤労者支援事業部と特定非営利活動法人健康経営研究会の共催で、「健康経営実践のための食と食環境整備のすすめ」セミナーを開催。管理栄養士・栄養士約70名と、健康経営に関心がある経営者、会社員約70名が参加しました。

健康づくりも事業、黒字を目指す

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 健康経営研究の先駆者である岡田邦夫先生(健康経営研究会理事長)が初めに登壇し、「健康経営の基本と食分野への期待」と題して講演しました。岡田先生は、健康経営とは「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面にも大きな効果が期待できるととらえ、健康管理を戦略的に実践すること」と解説。健康経営は単に医療費の節減のみを指すのでなく、従業員の生産性や創造性の向上、さらには企業イメージの向上にも効果があり、企業のリスクマネジメントとしても重要であるといいます。

 そのうえで、管理栄養士・栄養士や看護師等の指導をする立場の専門職は、「健康づくりも事業であり、黒字にしないといけない。アメリカの研究では栄養、運動、血圧管理それぞれでは投資効果はないが、組み合わせると投資効果があると結果が出ている。指導する方はプロフェッショナルとして広範な知識をもって指導をし、現場を知って効果が出るようにしなければいけない」と強調しました。

 また、国民健康・栄養調査の結果で、所得が少ないと肥満出現率が増加したり、朝食欠食率が増加したり、運動習慣が減少するなど所得と生活習慣には相関がみられることから、指導場面では対象者の社会的な立ち位置(雇用状況等)も考慮して、指導内容を変える必要があると説明しました。

 社員食堂でヘルシーメニューも出す際も、「魚を多く食べている国はうつ病が少ないとか、塩分は朝食と昼食でとると血圧が上がるが夕食でとっても上がらないなどの研究結果が次々と出ている。専門職としてこうした情報をいち早くつかんで実践し、従業員が食堂で食べているうちに知らず知らずのうちに将来的な健康度が上がっているようにするのが理想です」と付け加え、最後に「従業員の労働時間が短くても高いアウトプットができるように、そして退職をしても豊かなセカンドライフを送れるように、経営者や労働組合と一体になって健康をつくっていきましょう」と参加者に呼びかけました。

経営者の代わりに、専門職として栄養管理を

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 続いて、「職場の食と食環境整備について」を女子栄養大学教授の石田裕美氏が講演しました。石田氏はまず、勤労者世代の課題として、働き盛りのときに病気が発症すること、予防が大事だが仕事中心の生活で食事、飲酒、休息、運動等を自分でコントロールするのが難しいことなどを挙げました。さらに、健康日本21の目標値から、肥満者と女性のやせの割合の多さ、将来的に高齢となったときの低栄養も問題としました。そこで、「管理栄養士・栄養士はわかりやすい目標を示すことが必要。国民健康・栄養調査の結果から、主食・主菜・副菜が揃っている人の割合が男女とも50%程度しかおらず、副菜がとれていない。わかりやすく言えば、野菜と果物の摂取量を増やすことによりビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取量を増やすことで、過度な食塩摂取や高血圧を予防する。つまり、生活の中で副菜を1品でも増やすことが改善につながる」と目標例を示しました。

 また、事業所給食で管理栄養士・栄養士の配置が減っている現実から、「管理栄養士・栄養士は経営者に代わって専門職として栄養管理をしているという意識を強く持ち、従業員の異動もあるため数字で割合(%)出すことは難しいが、肥満ややせに該当する人を減らしていかなければならない」と強調しました。

 最近の事業所給食では従業員がメニューを自分で選ぶことができるカフェテリア方式が増えており、多品目少量生産のため生産管理、食材管理が煩雑になっている現状を説明し、「昼食1,500食の場合、だいたい40種類くらいのメニューを用意している。カフェテリア方式はお客様である従業員のニーズに応える良い方法ではあるが、どこまで拡大するかは再検討の余地がある。加えて、定食方式に比べて栄養管理がしづらく、従業員がどのように組み合わせるかでエネルギー、栄養素の摂取状況が変わってしまうことから、管理栄養士・栄養士が選び方の情報提供をすることが不可欠」と指摘しました。

 最後に、今年(2018年)4月から応募が開始される「健康な食事・食環境」認証制度について、「健康な食事(スマートミール)を、継続的に健康的な環境で外食や中食の提供できる店舗や事業所を認証する新しい制度」と説明し、「健康経営の取り組みの1つして各事業所でもこの制度を活用してほしい。管理栄養士・栄養士は会社から話が出る前に、この制度を調べて準備をしておきましょう」と呼びかけました。

人は食で成り立つ、企業は人で成り立つ

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 最後に「職場の食環境整備体験を語る」シンポジウムが行われ、中日臨海バス株式会社管理栄養士の樋口美惠子氏と、トッパングループ健康保険組合の石岡秀規氏が、それぞれの取り組みを発表しました。

 樋口氏は、350名程度いるバス乗務員全員と管理栄養士の二者面談、高リスク者には産業医を含めた三者面談を実施していること、9つある事業所すべてで乗務員向けと運行管理者向けの勉強会を開催していることを報告。さらに、乗務員の食事記録が「カップ麺とおにぎり」や「菓子パン3個」というような内容だったことから、各営業所にコンビニエンスストアの宅配を取り入れ、めかぶ、もずく、サラダ、パイナップルなど食物繊維が含まれるおかずと果物を置くようにしたところ、「カップ麺の前にキャベツを食べたり、お弁当にカップ麺ではなくみそ汁を合わせるようになったりして、従業員の食行動に変化が見られた」と話しました。経営陣もウォーキングを推進しており、あらゆる取り組みの結果、「高リスク者が52%から41%に減少、健康層も7%から11%に増加したうえ、管理栄養士が1名増員された」と発表しました。

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 石岡氏は、トッパングループ全体で4万人もの従業員がいること、工場では1日3食社員食堂を使う人もいることから、「社員食堂が個人の食生活を変容できる絶好の場」と位置付けていると説明。モデル事業所で従業員3~5名のチームを作り「生活習慣改善チャレンジ」として、診療所からのサポートを受けながら日々の歩数や2カ月後の体重変化等の項目で競い合い、個人賞・チーム賞を表彰したと報告しました。今後の取り組みとして、「社員食堂で食べたものの個人データと健診結果を組み合わせて分析していきたい」と話しました。

 質疑応答の場で、最後に岡田先生が「人(生命)は食で成り立ち、企業は人で成り立っている。この連鎖が大事。プロとして健康経営にコミットできるように、皆さんに期待しています」と会場の管理栄養士・栄養士を激励しました。なお、「日本栄養士会雑誌」第61巻5月号では、健康経営をテーマにした特集の掲載を予定しています。ご期待ください。

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