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【東京栄養サミット2021レポート #01】「世界の栄養不良を撲滅する」日本栄養士会がコミットメントを発表

「東京栄養サミット2021」レポート ♯01

【公式サイドイベント】日本栄養士会のコミットメント

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ラオスの栄養改善の基盤作りを支援する

 2021年12月7日(火)、8日(水)、「東京栄養サミット2021」が開催され、世界の栄養不良を撲滅するため、岸田文雄総理をはじめ各国の代表、国際団体、企業などが、これからの具体的な行動を示したコミットメントを次々に発表しています。
 公益社団法人日本栄養士会は「東京栄養サミット2021」と同日に、公式サイドイベントとして「ニッポンの栄養100年を、世界へ 世界の栄養課題の撲滅に向けて、いま、日本栄養士会が果たすこと」を開催し、その場で日本栄養士会の中村丁次会長が、世界の栄養不良の撲滅に向けた、日本栄養士会のコミットメントを発表しました。
 日本栄養士会のコミットメントは以下のとおりです。

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 中村会長はこのコミットメントについて、次のように述べました。
 「栄養不良の二重負荷は全世界で発生しており、特にアジア・アフリカで深刻な事態になりつつあります。新型コロナウイルスの影響で世界の低栄養者は増え、十分な栄養が摂取できない人は、2019年時点での30億人から、さらに1億4100万人も増えたと推計されています。食糧不足による栄養不良が広がる一方で、富裕層では食事の欧米化による過栄養、そして栄養政策の不備や研究・教育の遅れなどが見られます。そのようななか、先日、ラオス人民民主共和国(以下、ラオス)から正式な依頼があり、ラオス大使館に招かれ、大使や前大臣、関係者の方々と議論を重ねました。これから日本栄養士会はラオスの栄養改善に向けて、その基盤作りを支援をしていくと決め、準備をスタートさせています」

 ラオスは東南アジアに位置し、北側は中国、東側はベトナム、西側はタイ、南側はカンボジアに囲まれている、人口約710万人の内陸国です(2019年、ラオス計画投資省発表)。
 公式サイドイベントには、在日ラオス特命全権大使であるフォンサムット・アンラワン閣下が登壇し、「ラオス政府は国の経済的、社会的発展とともにSDGsを達成するには栄養の確立が重要だと考えています。これまで諸外国よりラオスの小学校給食に支援がありましたが、給食は持続的に実現できていません。ラオス政府は栄養の事業を続けられるように日本政府に支援をお願いし、日本栄養士会に正式に依頼をしました。国の将来を担う子どもたちの健康に栄養は重要です。これから緊密に連携していきたいと思います。ありがとうございます」と述べました。

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 フォンサムット・アンラワン閣下の挨拶の後には、中村会長と握手の代わりとして肘タッチをするコロナ禍ならではの場面もあり、両者の連携が勢いよくスタートを切る姿が見られました。

ラオスのすべての小学校に学校給食のシステムを

 その後、ラオスで小学校を建設、寄贈した一般財団法人KODAMA国際教育財団理事長の児玉圭司氏のメッセージの代読として、事務局長の上阪俊司氏が登壇し、ラオスの学校教育での取り組みを紹介しました。
 KODAMA国際教育財団がラオスに初めて小学校を建設、寄贈したのは2015年でした。そのことをきっかけに知り合った研究者のラオスの教育課題についての研究により「ラオスにはすべての学校の模範となるようなモデル校が必要である」ことがわかり、KODAMA国際教育財団は「ラオスが抱える教育問題の根幹に取り組みたい」という思いから、2020年9月、モデル校として「ラオ・ジャパン・スクール」を首都ビエンチャンに開校しました。
 このモデル校ではラオス政府の教育方針に沿って子どもたちのラオスアイデンティティを育む、レベルの高い教育がなされています。小児科の医師が常駐し、給食にはラオスの伝統食を提供しており、校内で野菜を育てる等の食育も実施しています。また、児童による清掃活動等の日本の学校教育の良い面も取り入れられています。
 「中でも給食はラオスの政策でもある『教育』と『給食を通した栄養教育』は一貫したものであるという考えから、栄養とその普及は質の高い教育につながるものとして取り組んでいます」と上阪氏は説明しました。

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 現在、ラオスの公立小学校には給食がないことから、「日本栄養士会の皆さまからジャパン・ニュートリションのご指導をいただく機会に恵まれたことを感謝します。このプロジェクトはラオスにとって財産となることを確信しています。そして、ラオスの子どもたちが、夢や目標を持つことを学び、日本への留学をはじめ各国に飛び出し、将来のラオスの力になる人材を輩出できれば、これほどうれしいことはありません」と結びました。

ラオスに栄養士を誕生させ、国民の健康支援へ

 日本栄養士会は2014年、ベトナムのハノイ医科大学、ベトナム国立栄養研究所、神奈川県立保健福祉大学、十文字学園女子大学とともに、ベトナムに栄養士課程に取り組んだ経験があります。日本の栄養士制度を、いわば"輸出"したのです。
 イベントでは、ハノイ医科大学栄養学科第1期生で、現在は神奈川県立保健福祉大学大学院で栄養学の学びを深めている、ダン・チィ・トゥ・ハンさんのビデオメッセージも流れました。
 「栄養学を学ぶ前は食べ物はおいしいと感じるだけでしたが、生きるうえで大事な知識を学んでいるとわかりました。日本には栄養の歴史が長く、法律や制度も充実しているので参考になります。日本で学んだことをベトナムに持ち帰り、ベトナムの食生活に合わせて、栄養課題に取り組んでいきたいです」

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 日本の栄養の100年の歴史と、ベトナムでの栄養士制度設立の実績を生かして、日本栄養士会ではラオスでの栄養改善プロジェクトについて2030年までを第1期から第4期にかけて、次のように進めていく予定です。

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 日本でも、栄養学が導入される以前は、白米中心の食生活だったことから人々は栄養欠乏症に悩まされ、第二次世界大戦時には国民は深刻な飢餓状態となりました。栄養士を国家資格とし、栄養改善法によって行政機関や学校、病院、福祉施設等あらゆる場所に管理栄養士・栄養士を配置してきたことで、国民が普段の生活の中で健康な食事や、栄養教育にアクセスできる環境が整えられ、それが世界一の長寿国となることに貢献したという経緯があります。
 中村会長は、「日本栄養士会は日本政府と連携して、管理栄養士・栄養士の育成と質の向上を図り、国民の栄養改善に貢献してきました。日本と同じように、ラオスにおいても食と栄養の専門職である栄養士が職業人として働き、ラオス国民の健康を支援できるようになるまで、日本栄養士会として支援をしていきたい」と確固たる決意を表明しました。

世界に向けて、日本栄養士会・都道府県栄養士会からのメッセージ

 日本栄養士会と全国47の都道府県栄養士会では、SDGsの達成、世界の栄養不良の撲滅に向けて動き出します。その決意表明を、メッセージビデオとして上映しました。

■レポートの続き(#02)を読む

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