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【PR】【講演レポート #05】日本人の栄養不足の対策は、"新ジャンルの野菜"の活用も!

「平成30年度全国栄養士大会」講演レポート ♯05

講演名:スポンサード講演「現代人が直面する低栄養―野菜不足と解決策―」
講師:
佐藤秀美氏(日本獣医生命科学大学客員教授)

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 1日に野菜を350gとりましょう。そう伝えても、なかなか実践できないという人も多く、野菜の平均摂取量は276.5g止まり(平成28年国民健康・栄養調査)。国民健康・栄養調査の結果を元に試算すると、現状の種類でやみくもに野菜を350g食べても、β-カロテン等の栄養不足は解消しない、という現状が見えてきます。そこで、野菜の栄養を効果的にとり入れるための調理法や他の食材との組み合わせ方、「カット野菜や野菜ジュース等の野菜100%加工品は野菜の代わりになるのか」という疑問に答える講演に注目です。

日本人の栄養不足、解決のカギを握る野菜は?

 「健康寿命を延ばすためには、健康の維持・増進に必要な栄養素を十分に摂ることが重要です。けれども、国民健康・栄養調査の結果をみると、多くの日本人は栄養不足であることがわかります」。 冒頭でまずこう指摘したのは、日本獣医生命科学大学客員教授で学術博士の佐藤秀美氏。 食品中のたんぱく質を体組織に利用するためにはビタミン・ミネラルが欠かせません。 『栄養をどれだけ摂っているか』を世代別にグラフ化してみると、20代はビタミンやミネラルなどの18種類の栄養素等のうち16種類が不足しており、そのうち極めて不足している栄養素(日本人の食事摂取基準(2015年版)の推奨量/目標量の60%以下の栄養素)が5種類にものぼります。

20182101_02.jpg出典:平成28年国民健康・栄養調査報告書

 年代が高いほど栄養素の摂取量は増加傾向にあり、70歳以上では極めて不足する栄養素はありません。逆に、20代、30代、40代の多くは、低栄養状態にあることがわかります。

 では、なぜ若い世代ほど栄養不足に陥っているのでしょうか?佐藤氏は、この答えを「朝食の欠食と野菜不足にあります」と指摘します。 朝食の欠食率は、20代の男性の3人に1人、30~40代の男性に4人に1人にのぼります。女性は男性よりもやや少ないものの、20代で4人に1人、30代で5人に1人となっています。朝食を食べないと、当然のことながら、栄養素等の摂取機会を逃します。20代と70歳以上の女性の、朝食欠食時の栄養素等摂取量を比較すると、興味深いことに、70歳以上が20代よりも栄養素を多く摂っていることがわかります。

 佐藤氏は、「これは、若い人と高齢者の食事内容が異なることが大きく影響していると考えられます。高齢者に馴染深い伝統的な日本の食事構成は、主食に一汁三菜を添えたもの。この食事構成では野菜の摂取量が自然に増え、その結果、ビタミンやミネラルをバランスよく十分に摂れるようになってきます。若い世代では高齢者に比べて「主食に一汁三菜」の食事をとる機会が多くなく、これが、若い世代のビタミンやミネラルの不足につながっていると考えられます」と説明します。 実際に、野菜はビタミンやミネラルの主要な供給源でありながら、その摂取量は、全世代平均で276.5gと目標値の350gに対して約74g不足しています。この傾向は、若い世代ほど際立ち、20~40代では121~92gも不足しています。

 「けれども、試算結果から、仮に朝食を食べ、さらに現状の種類のまま野菜を350g食べたとしても、栄養素等摂取量は期待するほど増えません」と佐藤氏。朝食を食べ、現在食べている種類で野菜350gを摂取しても、β-カロテンやカルシウムの摂取量不足を解消することは難しいという試算結果が示されました。

20182101_03.jpg出典:平成28年国民健康・栄養調査報告書/国民栄養の現状-平成12年厚生労働省国民栄養調査結果-(第一出版)/齋藤望、前田朝美 (2017) 東北女子大学・東北女子短期大学紀要、55、74-79、を元に試算・作成

 佐藤氏の試算では、これらの不足栄養素を補うために、現状の野菜摂取量で足りない分を緑黄色野菜(たとえば小松菜)で補給すると、栄養状態が大幅に改善する結果が得られています。20~30代で推奨量の39~52%しか摂れていないβ-カロテンや、同47~62%のカルシウムは、いずれも緑黄色野菜に多く含まれる栄養素です。つまり、栄養不足を解決するためには、①「朝食を食べる」、②「野菜を1日350g以上食べる、特に緑黄色野菜を意識して食べる」、さらに③「主食+一汁三菜の食事」、の3つが大切と言えるのです。

野菜の栄養を効果的にとり入れるための調理法とは?

 講演では、佐藤氏から野菜の栄養を摂るコツについて、具体的なアドバイスが示されました。
 まず、野菜の栄養を効率良く体内に取り入れるためには、野菜の細胞組織を破壊し、吸収率をアップさせることが重要だと解説します。例えば、ニンジンを「切る(粗みじん)」、「電子レンジで加熱」、「ゆで加熱」、「フードプロセッサーで切る(細断)」、「搾汁(ジュース)」の5つの調理操作を比べると、β-カロテンの溶出率は、細胞組織が破壊されるほど(あとに記載した調理操作の順に)高くなります。

20182101_04.jpg出典:青木雄大、菅沼大行 (2016) 日本食育学会誌、10、163-170

 佐藤氏は「家庭で簡単に細胞を破壊するなら、アクのない野菜に限っては生のまま冷凍し、そのまま汁物などに使うことで、栄養成分の吸収率アップと加熱時間の短縮が図れます」と提案しました。
 また、脂溶性成分は油に溶け込んで小腸を通過するので、脂溶性ビタミン等が豊富な緑黄色野菜は油脂と合わせて調理することで、体内への吸収率が高まります。これまでの研究では、β-カロテンやリコピンの吸収率は、それぞれ約7倍、約2倍弱アップすることが報告されています。さらに、緑黄色野菜に多いカルシウムや鉄は、乳製品・大豆食品と組み合わせることで吸収率アップが期待できます。
 ほかにも、脂溶性成分のリコピンは、ネギ属植物特有の臭い成分ジアリルジスルフィドと組み合わせることで吸収率が高くなります。ニンニクやタマネギとトマトを組み合わせ、さらに油脂を使ったトマトソースやラタトゥユ等の料理にすると、トマトに豊富なリコピンやβ-カロテンの吸収率が高まることが示されました。

20182101_05.jpg出典:竹村 諒太、本田 真己、深谷 哲也(2018)日本調理科学会投稿中

野菜不足の解決に向けて「野菜100%加工品」の活用を提案

 日本人の栄養不足を解決するためには緑黄色野菜を摂ることが重要ではあるものの、生の野菜は皮をむいたり、ゆでたり、炒めたりする過程で栄養素の一部が失われます。さらに、調理に時間や手間もかかるため、食育や栄養指導の場面でもどかしさを感じている管理栄養士・栄養士も多いことでしょう。そこで、佐藤氏は、野菜不足の解決に向けて「野菜100%加工品」の活用を提案しました。 

 野菜100%加工品とは、市販のカット野菜や冷凍野菜、缶詰、ピューレ(ペースト)、野菜ジュースなどの加工品を指します。
 「生野菜」と「市販カット野菜」の成分を比較した研究や栄養素等の理化学特性を踏まえると、市販カット野菜のビタミンやミネラルの含有量は生野菜とほぼ遜色ないレベルと言えます(※1)。一方、購入した生野菜を冷蔵庫で保存すると、調理や加工の過程で損失が大きいビタミンCは、保存中に急激に減少するという研究結果が報告されています(※2)
 家庭における保存状況によっては、購入後すぐに食べることの多い市販カット野菜の方が生野菜よりも栄養価が高い可能性も大きいと、佐藤氏は指摘します。「冷凍野菜」についても、生野菜を家庭でゆでた場合とほぼ同等のビタミンC含有量である研究結果が示されました(※3)
 
 また、佐藤氏は「野菜ジュース等の野菜100%加工品は"野菜代わり"になるか?」との疑問を会場に投げかけました。
 国民生活センターは、"手軽に野菜がとれる"とうたった商品を中心に、野菜系飲料等の商品テストを行い、野菜系飲料は、普段家庭で摂取している緑黄色野菜とは栄養成分の量やバランスが異なる結果を報告し、「生野菜からの栄養摂取を中心として、野菜系飲料は食生活の補助的なものとして使用することが望ましい」と提言しています。一方、国民健康・栄養調査報告書の食品群別栄養素等摂取量の分類「野菜」の中で、「野菜ジュース」は「緑黄色野菜」や「その他の野菜」と同格の"項目"で取り上げられています。その摂取量の数値を厚生労働省に問い合わせたところ、野菜ジュースの飲料重量の数値、との回答が得られています。

 佐藤氏は、同報告書中に記載のある複数の「緑黄色野菜」や「その他の野菜」の成分量を日本食品標準成分表(2015年版)を使って比較し、生野菜は、その種類により栄養素含量が大きく異なることを示しました。現状で食べている野菜を単に350gとっても、ビタミンやミネラルの摂取量の増加につながらないのは、このためです。いろいろな種類の生野菜を350g以上とることで、ビタミンやミネラルの摂取量は増えてきます。さらに、同報告書中の「野菜ジュース」の栄養素別摂取量を示し、「野菜ジュース」は原料となる野菜の成分量とは大きく異なるものの、野菜ジュースがビタミンA等の摂取量増加に大きく貢献できることが解説されました。
 また、缶詰やピューレ等の野菜100%加工品の1食分の使用量の栄養素量も示し、野菜ジュースと同様に、これらの加工品も栄養素摂取量の増加に役立つことが紹介されました。以上を考え合わせると、野菜ジュース等の野菜100%加工品は「新ジャンルの野菜」と位置付けることができ、ビタミン等の供給源として価値が高いと言えることになります。

 さらに佐藤氏は、野菜100%加工品を取り入れた時の栄養改善の効果について、不足分の野菜を●現状の食べている種類で補充した場合(野菜350g)、●緑黄色野菜の小松菜で補充した場合(野菜350g)、●野菜ジュース(200g)で補充した場合、の3つを比較した試算結果を示しました。各場合で摂取量が増える栄養素は異なりますが、野菜ジュースの場合には、多くの日本人で不足が深刻化しているビタミンAの摂取量が推奨量の約1.5倍と大幅に増加するなど、野菜ジュースを含む野菜100%加工品が、現代の日本人の栄養不足の解決策として大いに役立つことが示唆されました。

20182101_06.jpg出典:平成28年国民健康・栄養調査/日本人の食事摂取基準2015年度版

 最後に佐藤氏は、野菜不足、ひいてはビタミンやミネラルの不足を解決するためには、「"手作り"にこだわる前に"栄養を摂る!ことにこだわる!"ことが、健康の維持・増進には重要である」と伝え、野菜100%加工品は手軽かつ効率よくビタミン・ミネラルを摂取できる供給源となる、「新ジャンル」の野菜として捉えることを提唱したい、とまとめました。

(※1)大羽和子、1990、日本家政学会誌、41、715-721
(※2)畑江敬子ほか、1990、日本家政学会誌、41、1143-1149
(※3)山口智子ほか、1998、日本家政学会誌、49、1241-1247

講師プロフィール:佐藤秀美氏(日本獣医生命科学大学客員教授 学術博士・栄養士)
横浜国立大学卒業後、企業で調理機器の研究開発に従事。その後、お茶の水女子大学大学院修士・博士課程を修了。学術博士。専門は食物学。放送大学をはじめ、複数の大学で教鞭をとる傍ら、専門学校を卒業し栄養士免許を取得。現在は、日本獣医生命科学大学客員教授を務める。『カラダと健康の疑問に応える栄養「こつ」の科学』(柴田書店)、『おいしい料理が科学でわかる日本型健康食のすすめ』(講談社)等、著書多数。研究者と主婦の目線で研究を続け、料理・健康・栄養の実践ポイントをエビデンスに基づいて、分かりやすく生活者に伝えている。

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