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【緊急特別企画】茂木健一郎氏と中村丁次会長が生激論! 「未来に秘める、ニッポンの栄養」

 脳科学者・茂木健一郎氏と中村会長の対談が実現!「全国栄養士大会・オンライン」の収録に訪れていたふたりがその場で意気投合、そのときの模様を、ダイジェスト版としてお届けします。なお、管理栄養士・栄養士へのメッセージを含む本編(動画)は、全国栄養士大会の一講演として、オンラインの会場でご覧いただけます。ふたりが見据える未来とは!? 必見です!

「未来に秘める、ニッポンの栄養」予告編動画はこちら

管理栄養士・栄養士がアメリカでスターになる日は近い!?

中村会長 今年は12月に「東京栄養サミット2021」が開催される予定で、この全国栄養士大会でも、サミットに焦点を当てた企画にも組んできました。私たち(公社)日本栄養士会が、このコロナ禍で、国民にそして世界に発信していきたいのは、「ジャパン・ニュートリション」という新しい概念です。

茂木氏 中村会長のご著書もそのタイトルですね?

中村会長  はい、そうです。自然と対立しない日本の食文化、合理性を貫いた栄養学という科学、この文化と科学を融合させたのが日本の栄養学の特徴だと思っています。自然に大きな負荷をかけずに、人々が健康に幸せに生き、そして世界一の長寿国となったのは、この「ジャパン・ニュートリション」の成果です。これを世界の人々にも広げ、世界の人々にも健康で幸せな食生活を普及していく、そのお手伝いを私たち日本栄養士会ができればいいなと考えています。茂木氏からご覧になって、この「ジャパン・ニュートリション」という概念はいかがでしょうか?

茂木氏 昨年(2020年)のノーベル平和賞は、国連機関の一つである世界食料計画(WFP)が受賞しましたよね。ですから、「ジャパン・ニュートリション」は世界的に見てもタイムリーな内容であると捉えています。私も、食料や栄養は世界の平和に貢献できるものだと考えています。「ジャパン・ニュートリション」の普及で、人々の健康から平和へとつなげていくということは、とてもすばらしい構想だと思います。

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中村会長 実は、恥ずかしい経験があるんです。以前、シカゴで講演をしたときに、「日本食はすばらしい」というような内容で話をしたのですが、それを聞いていたアメリカ栄養士会の会長から、「日本人だけが長寿になってどうするんだ!」と指摘されたのです。「そんなにすばらしい食事の秘訣を持っているのならば、それを世界の人々に広めて、世界中の人々が健康で幸せになるように発信をするべきだ」とお説教をされました。そこで、「ジャパン・ニュートリション」を一冊にまとめて、発信しようと思い立ったわけです。

茂木氏 まさに、アメリカ栄養士会会長の言うとおりだと思います! 私はアメリカの学校でスクールディナー(給食)を見たことがありますが、日本の給食は"奇跡"ですよ。アメリカのスクールディナーは、例えばポテトとりんごだけとか。ほぼ毎日このようなものを食べ続けているわけですから、それと比較すると日本の給食はなんてすばらしいのでしょうか! 我々の多くは実にさりげなく管理栄養士・栄養士の皆さんのお世話になっているんですよね。ですから、管理栄養士・栄養士の皆さんはもっと社会の表に出てきてくれたらいいのではないでしょうか。会長は、こんまりさんをご存知ですか?

中村会長 あの片付けの方ですか?

茂木氏 そうです。こんまりこと、近藤麻理恵さんは、アメリカで片付けの方法を動画配信サービスのNetflix (ネットフリックス)で普及してスターになった方ですけれど、「ジャパン・ニュートリション」を伝道する、こんまりさんのような管理栄養士・栄養士をデビューさせるのはどうでしょうか!? アメリカで肥満の方に「ジャパン・ニュートリション」に則った食生活を一から指導して、数ヶ月で標準体重のスリムな体型になってもらい、「日本の管理栄養士・栄養士とジャパン・ニュートリション、ありがとう!」と毎回感動の嵐が起こるような。

中村会長
 それは画期的ですね。

茂木氏
 僕は絶対にできると思いますし、人気番組になると思いますよ。「Dr. Japan Nutrition」というようなネーミングで。 とにかく、日本の栄養学は最高水準です。何が最高かというのは、学校の給食をはじめ、これだけ社会に広く浸透しているという意味です。

栄養ツーリズムと栄養士制度の輸出、世界の人々に「ジャパン・ニュートリション」の体験を

中村会長 さすが茂木氏! 今、「ジャパン・ニュートリション」の肝の部分を指摘していただきました。そうなんです、日本はありとあらゆるところに管理栄養士・栄養士を配置しているのです。学校や病院、企業、地域、さらに福祉施設にも、管理栄養士・栄養士はいます。欧米では病気にならないと管理栄養士に会うことはありません。人々がどこで食事をしても、おおむね健康的な食事ができる社会を作ったところに、「ジャパン・ニュートリション」の特徴があるのです。

茂木氏 なるほど。将来的に、コロナ禍が終息した際には、外国の方々が日本に来て、「医療ツーリズム」があるように、「栄養ツーリズム」で日本の食生活を体験していただくのもよいですね。

中村会長
 私もそう考えたことがあって、日本に1〜2か月滞在してもらえれば、健康的に体重を落とすことができる、というツアーがあればよいと。アメリカやヨーロッパで日本食を食べるだけではなく、日本の食環境の中で数ヶ月を過ごして健康になるということです。そして、アジアやアフリカには、栄養不良が多く存在するので、これを解決するためには、自国に栄養の専門職を作ることが必要だと思っています。そこで、栄養士を自国で作る方法、つまり日本の栄養士制度を輸出するのです。ということで、6年前にベトナムのハノイ医科大学に管理栄養士の養成課程をつくったのです。これを、今度、いろいろな国々に輸出していきたいと考えています。

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茂木氏 中村会長もきっと経験があると思いますが、海外の方から、以前にも増して「日本食はおいしい」と言われることが増えましたよね。日本の食事のおいしさや、健康によいということは、海外の方たちに随分知られてきているのですが、その背後に、管理栄養士・栄養士という専門職がいるという事実は、まだあまり認知されていないと思うのですが...。

中村会長
 はい、その点が、私が「ジャパン・ニュートリション」の本を書いた理由の一つです。日本人が長寿になったのは、伝統的な食事のおかげだと言われていますが、実はそうではないのです。かつての日本人の食生活は貧しくて、低栄養で身長は低く、50歳まで生きられなかった人も大勢いました。つまり、日本の伝統的な食事では短命だったのです。それが、明治時代に栄養学を導入して、戦後間もない時に、アメリカから積極的に栄養政策を導入し、管理栄養士・栄養士をあらゆる場所に配置して、食生活を改善し、人々の栄養状態をよくして、この長寿社会ができあがったのです。健康な食事がもとからあったのではなく、日本人の努力で健康な食事を創造したのです。

茂木氏
 これは、非常に大事な視点ですね。私はこのような認識がまったくなかったので、今、中村会長からのお話で、「ジャパン・ニュートリション」の真髄がスッと理解できました。

誇りと自信を持って一歩前へ! 茂木健一郎氏から管理栄養士・栄養士へのメッセージ

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中村会長 人々の栄養状態をよくしたからこそ、オリンピックでもメダルを取れる選手がでてきました。昔の日本の食事は、たんぱく質もビタミンもミネラルも不足していたのです。私が子どもの頃には、冬に寒くなると、多くの子どもたちがしもやけや、あかぎれになっていました。

茂木氏
 いました、いました!

...続きは「全国栄養士大会・オンライン」会場で!

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