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中村会長が見る時代の変化、高齢社会に生きる管理栄養士・栄養士への期待

 2021年1月、日本栄養士会・都道府県栄養士会関係者を対象にオンラインでおこなわれた年頭挨拶。その内容を動画と手記でまとめました。「新型コロナウイルス」、「SDGs」などの時代の背景から介護報酬の改定、さらには2050年を見据えた「Society5.0」までのキーワードと、そこで活躍する管理栄養士・栄養士への期待を述べられています。

苦しみの中から創造する新たな進化

 このコロナ禍で、栄養改善に熱心に取り組んでいる皆様に心から感謝申し上げます。
 最近の状況を総括いたしますとアフターでもポストでもない、いわゆるウィズコロナなのではないかと思っております。理由は、地球温暖化により凍土が解け始め、人口増加による食料不足を補うために森林の開発が進み、未知なる微生物や動物と遭遇する機会が多くなるからです。人類が被害を受ける未知なるウイルスは、数万種類存在するそうです。

今年は勝負の年、3つのキーワード

 さて、今年は、会員はもとより、全ての管理栄養士・栄養士にとって、今後の展望を左右する勝負の年になります。大きな理由は3つあります。1つめは2021年12月の中旬に予定されている「東京栄養サミット2021」です。そして、2つめが介護報酬の改定。3つめが、「Society5.0」です。

 まず、「東京栄養サミット2021」ですが、SDGsで示されているように、栄養は単に健康のみならず、環境、教育、労働等、多くのことに関与し、人々を幸せにする原点であると認識されるようになりました。このことから、このサミットは、世界のトップリーダーが集まり、地球上から栄養不良を撲滅することを目的に、政府主催で開催されます。現在、我が国では外務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、食品・流通・加工の企業、国内外のNGO、さらに栄養の関連学会や協会等が、準備を始めています。
 栄養不良の撲滅とは、エネルギーと栄養素の過不足状態を解決することであります。エネルギーとたかだか35種類の栄養素の調整が、なぜこれほど困難で、栄養不良が世の中から無くならないのでしょうか? その理由の根源的なことは、これらの栄養素を私たちは、圧倒的に日常の食事から摂取しているからです。食事は、食べる事、つまり状態を言います。この状態は、食品の生産、加工、流通、調理、食品ビジネス、食環境、食文化等から形成され、この過程には多様な要因が複雑に関係していることから、その調整が困難なのです。例えば、気候変動により食糧の生産が不充分になり、今回の新型コロナウイルスにより食品の流通が機能不全となれば、食品全体の流れにひずみが生じて、最終的には適正なエネルギーと栄養素の供給が困難になります。

しかし、このような困難な課題だからこそ、栄養の専門職である私たち管理栄養士・栄養士の存在価値があると、私は信じています。

介護予防は我が国の政策として最も重要

 第二は、近日中に発表される「介護報酬の改定」についてです。ご存じのように、超高齢社会を迎えて、介護予防は我が国の政策として最も重要になっています。介護予防により健康寿命の延伸を図り、人生100歳時代に備えるのです。
 介護が必要になる要因のなかで栄養に関係するものは、非感染性疾患(生活習慣病)の後遺症と、加齢現象に伴う衰弱、骨折、転倒があり、前者は過栄養が、後者は低栄養が危険因子になります。つまり、介護予防のためには、成人期のメタボリックシンドローム対策と高齢期のフレイル対策が必要になり、極端にいうと、個人のライフステージにおける栄養不良の二重負荷ということになり、この問題を解決することが重要になります。

 今回の改定では、介護保険の施設サービス対象者(入所者)すべてに栄養管理を実施することが義務化され、そのために全ての施設に管理栄養士を配置することが制度化されようとしています。
美味しい料理を作り、楽しい食事を演出することは大切です。しかし、それだけでは、栄養不良は解決できず、介護予防には結びつかないのです。私たちは、栄養学という科学を基盤にし、人々の栄養状態を改善して、健康で、幸福にすることを職業的使命にしています。今回の改定は、医療、介護の同時改定にも繋がります。今後、管理栄養士・栄養士が末永く存続できるか否かの命運をかけているともいえるでしょう。

AIやロボットを活用し、人間味のあふれる社会の実現を

 第三の「Society5.0」についてお話しします。「Society5.0」とは、人と情報を一括化し、AIやロボットを活用し、人間味のあふれる社会をつくろうとする試みであります。このようななかで栄養、食事をどのようにするのか、これから私たちは新しい挑戦をすることになり、日本栄養士会は、近日中にその取り組みについて発表する予定です。

 最後になりますが、昨年は、辛くて、暗い年でした。しかし、人間は、このような苦しみを何度も経験し、その都度、工夫と努力により乗り越え、さらに進化してきました。
 今年こそ、健常者はもちろんのこと、高齢であろうと、どのような病気や障害をもとうとも、誰一人取り残さず、健康寿命が延伸できる社会を作ろうではありませんか。私たちのこのような挑戦は、世界で今後起こってくる食糧危機や高齢化社会のモデルになります。このことこそが、世界一の長寿国を維持している日本の役割だと信じています。
これから皆様が、それぞれの地域や社会で、ますます活躍されることを願って、会長としての挨拶にかえさせていただきます。

日本栄養士会会長 中村 丁次

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