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コンビニで「ごはんのこと」を相談できる認定栄養ケア・ステーションを立ち上げ

トップランナーたちの仕事の中身♯030

吉田 美代子さん(管理栄養士)

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 (公社)日本栄養士会では、栄養ケアを提供する地域密着型の拠点として「栄養ケア・ステーション」を設置しています。日々の食や健康管理についての相談事にのる他、セミナーや研修会の講師派遣や、特定保健指導の請け負い、料理教室の企画・開催等、食と栄養に関する幅広いサービスを提供しています。 今年度(平成30年度)からは、「認定栄養ケア・ステーション」の認定制度がスタートしました。(公社)日本栄養士会および各都道府県栄養士会と「認定栄養ケア・ステーション」が連携をして、地域にきめ細やかな栄養ケアのネットワークを築き、地域住民の方々の健やかな生活をサポートしていくことが目的です。

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 認定栄養ケア・ステーションは、18都道府県に72拠点ありますが(平成30(2018)年11月末現在)、その一つが今年(平成30(2018)年)8月、コンビニエンスストア大手のローソン店内に誕生しました。
 東京都内でも下町情緒あふれる人気スポット"谷根千"エリアにある、ローソン千駄木不忍通店。店内に入ると、奥は通常の商品棚が並ぶコンビニ店舗ですが、左手前には調剤薬局に並んで「ごはんと介護のことなら何でもご相談ください」と書かれたカウンターがあります。ここが認定栄養ケア・ステーションの「龍岡栄養けあぴっと 認定栄養ケア・ステーション(以下、龍岡栄養けあぴっと)」です。

 管理栄養士の吉田美代子さんが中心になって、4名の管理栄養士が交代で担当しています。週2日(水・金曜日)の午前9時から午後5時まで、コンビニ内の介護相談窓口のカウンターに管理栄養士が常駐しています。
 「実は、血圧が高くってね...」 「高齢の母の食べる量が減ってきている気がするんです」 「食事に気をつけているつもりでも、やせないのよね」 コンビニで買い物をする前後に、ふらりと立ち寄り、自分や家族の日ごろの食事で困っていること、疑問に思っていることを相談することができます。

 吉田さんは、「栄養ケア・ステーションではどのような情報が得られるのか、地域の皆さんはまだよくわからないと思います。私たちもどのような情報をみなさんが必要としているのか、管理栄養士にどのようなニーズがあるのかを知りたいので、気軽にお話してもらえるようにお声かけをしています」と話します。
 顔なじみになった糖尿病療養中の女性客は、コンビニで買ったばかりのお団子を吉田さんに見せながら、「これ、計算してくれない?」と質問。吉田さんが栄養成分表示を見ながら電卓で計算すると、慣れた様子で、「じゃあ、1本にしとくわね」と答えました。そこには笑顔でOKポーズの吉田さん。暮らしの身近にある栄養ケア・ステーションは、健康と食べることの不安を少なくできる場所と言えます。吉田さんは、「相談してくださった方が、自分を褒めたくなるような」サポートができる管理栄養士でいたいと心がけているのです。

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 龍岡栄養けあぴっとのカウンターでの栄養相談は、1回20~30分程度で、無料で対応しています。他に有料メニューとして、個別の栄養相談(来所・訪問)、料理教室や研修会の講師、レシピ作成や献立作成、栄養計算、原稿執筆等も請け負っています。
 ローソン千駄木不忍通店の中には多世代交流の場として広めのイートインスペースがあるため、その可動式のテーブルと椅子を使って、吉田さんたちはミニ講座も開催しています。これまで「野菜を楽しく知ろう」、「介護食のはなし」、「筋肉量&筋力測定会」等を企画。地域住民の方やたまたま買い物に来たお客さんが立ち寄って、賑わっています。筋肉量&筋力測定会では、握力計を使って参加者の握力をチェックをしたり、参加者のふくらはぎ周囲長を計測したりしました。高齢になり食事の摂取量や日ごろの活動量が減っていくことで筋力が衰えるサルコペニアやフレイルについて予防を呼び掛けました。「コンビニは、近所の方が頻繁に出かけるところ。龍岡栄養けあぴっとは地域の身近な人たちの健康をそっと支える存在でありたいですね」

 認定栄養ケア・ステーションの運営は、吉田さんがフリーランスの管理栄養士として所属している(医)龍岡会(以下、龍岡会)がしています。龍岡会の大森順方理事長が、「要介護になられる方の中には低栄養状態の方が多いことから、コンビニに介護相談窓口を作るなら、栄養相談窓口も必要だ」と考え、介護相談窓口を備えたコンビニ「ケアローソン」を展開しているローソンで初となる認定栄養ケア・ステーションの設置が実現。管理栄養士として地域で活動をしてきた吉田さんが任され、認定栄養ケア・ステーション新設の準備と実務を担ってきました。
 龍岡栄養けあぴっとは、管理栄養士がいるコンビニとしてテレビのニュースでも報道されたため、これまでに管理栄養士養成校に通う学生や、介護事業者等が見学に来ました。認定栄養ケア・ステーションが各地域に広がっていく、そのきっかけにもなりそうです。

食と色の2つを結びつけて

吉田さんは、管理栄養士として病院と介護老人保健施設で働いたのち、フリーランスとなりました。家族が婦人服店を経営していたことから、カラーコーディネートを学び、色彩検定1級も取得しています。その縁で、栄養士・調理師を養成する専門学校でカラーコーディネートの非常勤講師をしており、自身の仕事を「食&色コーディネーター」と名付けています。カラーコーディネートを理解していることで、栄養相談用の資料作りや料理写真の撮影にそのセンスを生かしているほか、食が進まない人への盛り付け方、行事での食環境のコーディネートなど、管理栄養士のどんな仕事にも奥行きが出るといいます。

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 オレンジ、黄色、水色、グレー、紺。カラフルな数々のスニーカーは、吉田さんが訪問栄養食事指導や料理教室の講師をする際に履いていくマストアイテムです。2年前からスタートさせた訪問栄養食事指導では、リュックに各種資料のほかに、体温計、血圧計、パルスオキシメーター(血中酸素測定器)、皮下脂肪厚計、はかり、計量カップ、計量スプーンなどの「計る・量る」アイテムを入れていきます。「計る・量ることで、相手の方の体調だけでなく、暮らし方を知ることができます。計測はしますが、相手の方のそのときだけを見るのではなく、どのような生活をされているのかという生活全体を把握するように心がけています」

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 管理栄養士・栄養士に限らず、独立・開業しようとするときは、 ほとんどの人が一大決心をするもの。しかし、吉田美代子さんは自然体。 管理栄養士として1つの仕事に丁寧に向き合っていると、次の依頼が舞い込んでくる。フリーランスになってから一度も営業活動をしていなくても、介護教室や料理教室の講師を参加者の要望で再度依頼されたり、紹介で新規の栄養指導の依頼が来たり。そして訪問栄養食事指導と認定栄養ケア・ステーション立ち上げにも関わるなど、管理栄養士の仕事の幅を自分のペースで広げてきた吉田さん。フリーランスは自分で仕事を組み合わせられるからこそ、全力でどの仕事にも向き合えるといいます。
 地道な活動で地域に根付いて、在宅訪問栄養指導と栄養ケア・ステーションも始まった。

 「栄養相談や料理教室で私とお話したあとに、『ありがとう』と言われたくないのです。私にお礼を言うのも思いつかないように、ご自身のことに集中してくれたらうれしいから。『私は大丈夫なんだ』、『よし、次はこうしてみよう』と、相手の方のモチベーションが上がり、スキップして帰るところをそっと見送る、そんな存在の管理栄養士でありたいです」

プロフィール:
平成5(1993)年、女子栄養大学栄養学部栄養学科実践栄養学専攻卒業後、管理栄養士として病院、介護老人保健施設に勤務。平成14(2002)年よりフリーランスとなる。平成15(2003)年文京区嘱託職員、平成19(2007)年東京誠心調理師専門学校カラーコーディネート非常勤講師、平成25(2013)年(公財)結核予防会総合健診推進センター糖尿病外来栄養指導を担当。平成28(2016)年居宅療養管理指導開始。平成30(2018)年8月「龍岡栄養けあぴっと 認定栄養ケア・ステーション」担当。

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