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【福祉の現場】一人ひとりの人生を支える、“人間栄養学”を追求したい

管理栄養士・栄養士の「就活」と「働く」がリアルにわかる!
訪問! 現場で活躍するセンパイ #02

桐島杏子さん(社会福祉法人瑞祥会 特別養護老人ホーム引田荘、管理栄養士)

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 管理栄養士として働く母親の姿に憧れ、自然とその道を志したという桐島杏子さん。勤務するのは、認知症などの持病を抱える高齢者が多い特別養護老人ホーム。福祉施設で活躍する、管理栄養士の日常を語っていただきました。

プロフィール:
香川県出身。安田女子大学家政学部管理栄養学科を卒業後、社会福祉法人瑞祥会 特別養護老人ホーム引田荘にて、管理栄養士として勤務。勤続年数5年。

現在のお仕事に就くまでのことを教えてください

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管理栄養士になりたいと思ったきっかけ

 「食べることが好き」というのが出発点で、そこから食に関連する職業につきたいと思いました。母親が管理栄養士として病院で働いていて、その姿を見て、幼ながらにかっこいいなと思っていたのも、この仕事を目指す動機になりました。

就職活動の際に苦労したこと、心がけていたこと

 一般企業の就職活動と違って、病院や福祉施設は管理栄養士・栄養士の募集情報が表にあまり出ていないため、まずその情報収集が大変でしたね。今の勤務先は、なんとバスツアーで見つけたんです! 「栄養士 香川」で検索したら、就職情報サイトに瑞祥会のバスツアー見学会の募集が掲載されていて、それに参加したのがきっかけでした。バスツアーで見学したのが4年生に進級する前の3月末頃で、そのときに好印象をもって、採用試験に臨み、合格して今に至ります。第二志望でドラッグストアの面接も受けていたのですが、第一志望の面接の前に本番の経験が積めたことはよかったです。

学生時代の経験や勉強したことで役に立ったこと

 食事のエネルギー計算や栄養バランスの組み立てのほか、高齢者のいる施設では糖尿病や高血圧などの持病を持っている方が多いので、学校で習った基礎知識がとても役に立ちました。ただし、大学で教わるのは元気な高齢者向けの知識。実際に現場に出てみると、認知症の高齢者へのケアなど、学校で教わっていないことに戸惑うこともありました。学生のうちから、高齢者との関わり方をもう一歩深めて、広い視野で勉強しておけばよかったなと思います。

今のお仕事について教えてください

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現在、担当している業務

 主な仕事は、献立作りや食数管理、食材の発注、ミールラウンド(利用者さんの食事場面に立ち合い、摂食状況を観察すること)などです。高齢者の方には、若い人たちに流行っているものや凝った料理はあまり好まれません。例えば、魚なら塩焼きや照り焼きにするなどシンプルに調理するようにしています。そのほか咀嚼のしやすさに気を付けたり、馴染みのあるメニューを心がけたりしていますね。香川県という土地柄、週に1回は讃岐うどんの日も設けています。摂れる食事の量が少ない方には、栄養補助食品で補うこともあります。
 ミールラウンドでは、利用者さんたちの食事を介助しながら状態を確認します。介助を通して、「これおいしかったよ」とか「これはイマイチだったな」とか反応がもらえるのが楽しいですね。利用者さんの介護はお手伝い程度ですが、介護士に頼まれたときだけ移動の際に手を貸す等することもあります。職場内では、介護士や看護師等の他職種へも食事面でのアドバイスをしたり、生活相談員(ソーシャルワーカー)や介護支援専門員(ケアマネジャー)に食事の様子を共有したり、他職種とは密にコミュニケーションを取っています。みんな年齢が近いので、話しやすいし仲もいいですよ。

仕事で大変なこと、やりがいを感じること

 認知症の方も多いので、食事中に気になることがあると食事が進まなかったり、汁物などの中の具を全部取り出してからじゃないと食べようとしなかったり、人によってケアするポイントはさまざまです。誤嚥や窒息が起こらないように細かく刻んだり小分けにしたり、嚥下困難な方には嚥下調整食を提供しています。また、水分でむせる方にはとろみをつけて提供することで安全に水分摂取ができるようにしています。利用者さんが安全に食事をすることができて、十分な栄養が摂取できるような工夫を、ケアプランに反映しています。
 実は、新人の頃は認知症の方とのコミュニケーションで気持ちが滅入ることもありました。例えば、レクリエーションで「かき氷」を作ったときに、「今日は何食べた?」と聞いたら「何も食べてない」と言われてしまいました。認知症だから、食べたことをすぐ忘れてしまうのだと分かっていても、やっぱりちょっとやりきれない気持ちになりましたね。施設の新人研修や栄養士会の研修で、認知症の病気について勉強することで、今ではそういった反応があっても「そういう病気なんだ」と割り切れるようになりました。
 また、ミールラウンドで「おいしい」って言ってもらえたり、ごはんを全然食べられなかった人が、ちょっと工夫したら食べてくれるようになったり、そういう成果が見えたときはうれしいですね。

この仕事はどんな人に向いていると思いますか?

 介護士や看護師等さまざまな人たちと連携を取りながら仕事をするので、協調性がある人や、コミュニケーション能力の高い人が向いていると思います。新卒での就職は、専門職としての知識はあっても、経験値は先輩方に敵いません。なので、周りの人たちの意見も聞いて、コミュニケーションを取りながら信頼関係を築くことが重要です。私の職場の場合は厨房との関わりも深いのですが、調理員の平均年齢が70歳くらいなんです! 積極的に味付けの意見を聞いたり献立のアドバイスをもらったり、そこで可愛がってもらえるような人柄も大事だと思います。

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今後の夢や取り組んでみたいこと

 どんな症状を持った方が入所されても、管理栄養士として対応できるようになりたいですね。6年目を迎えると介護支援専門員の試験が受けられるので、その資格取得にも挑戦したいです。病院と違って高齢者の方々が生活をする場所なので、その人全体を支えられる「人間栄養学」を身に付け成長していきたいです。

1日のタイムスケジュール

  1. 6:30

    起床

  2. 7:45

    家を出発

  3. 8:00

    出勤。利用者さんの朝食、食事介助

  4. 8:50

    朝礼

  5. 9:00

    献立作成、食数管理、食材の発注

  6. 12:00

    ミールラウンド

  7. 13:00

    休憩  

  8. 14:00

    デスクワーク

  9. 14:30

    ケアカンファレンス

  10. 15:30

    栄養ケアマネジメント、ケアプラン作成等

  11. 17:30

    退勤 

  12. 18:00

    帰宅、自由時間

  13. 0:00

    就寝

献立作成は月ごとにまとめて、2カ月前に作成。今年から委託給食業者さんに主菜と副菜の調理、納品を委託しているので、そちらの内容に合わせて献立を組み立てています。ミールラウンドでは歯がなくて咀嚼が苦手な方や、飲み込みが悪い方など、その人それぞれの状態を確認しながら回っています。栄養ケア計画の作成は月に1回。その月に多職種合同でケアを検討するカンファレンスを実施した方の分を作ります。休みはカレンダー通りで、月に数回休日出勤がありますが振替休日をもらえます。

OFFの時間や休日の過ごし方

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帰宅中に車の中で、大音量で音楽を流しながらカラオケするのがストレス発散になっています。コロナ禍前は休日にライブによく行っていましたが、最近は家でゴロゴロしたりアニメを観たり、のんびり過ごすのが好きです。
※写真はお気に入りのCDと当時のライブグッズ。

学生へのメッセージ

大学時代は勉強で忙しいと思っていましたが、いざ社会人になって振り返ると学生のうちは時間があったなと思います。その時間を使って、いろんな人とコミュニケーションを取ったり、話を聞いたり、さまざまな体験をしてほしいですね。私は元々、福祉施設の管理栄養士を志望していたわけではありませんでした。しかし、栄養士として視野が広がる貴重な経験を積ませてもらい、結果的にこの仕事に就けてよかったと実感しています。もし就職先を迷っている人がいたら、選択肢に「福祉は絶対なし」と決めつけないで、一度経験してみることをおすすめします。

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