【厚生労働省】後期高齢者の保健事業のあり方を提言~フレイルに着目~
2016/06/17
ニュースのポイント
- 後期高齢者の保健事業では、フレイルに着目し低栄養等の対策が重要
- フレイルとは、心身の脆弱性が出現しつつも支援により機能の維持向上が可能な状態像
- フレイルに着目した対策には、管理栄養士等による訪問相談の効果的な支援が求められている
厚生労働省の研究班は今年度に入り、後期高齢者の特性を踏まえた今後の保健事業のあり方を提言する報告書を公表した。後期高齢者の保健事業については、生活習慣病の発症予防という観点よりも、生活習慣病の重症化予防や加齢に伴う心身機能の低下、すなわち「フレイル」の進行を予防することが重要としている。
フレイルとは、この報告書では「加齢とともに、心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」と定義している。
この保健事業の対象としては、①頻回入院・再入院防止、②在宅療養高齢者対策(重症化予防)、③虚弱(フレイル)高齢者対策、④元気高齢者対策の4つの階層のうち、当面は②と③に重点をおいて対策を実施することが適当であるとしている。特に、③の虚弱(フレイル)高齢者に対しては、栄養指導等によるフレイル対策を行うことが適当であると提言している。
また、報告書に併せて後期高齢者医療広域連合が示した「後期高齢者の保健事業ガイドライン(試案)」では、基本的な考え方として生活習慣病等の慢性疾患の重症化予防、フレイルに関連する老年症候群(低栄養、転倒・骨折、誤嚥性肺炎等)の管理を実施すべきだとしている。介入支援の適切な手法は今後の課題だが、現場での取り組み例として低栄養については管理栄養士等による訪問相談が挙げられており、今後、管理栄養士・栄養士による効果的な介入が求められている。