災害支援
日本栄養士会は、平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに、大規模自然災害発生時、迅速に、被災地での栄養・食生活支援活動を行うために「日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT: The Japan Dietetic Association-Disaster Assistance Team)」を設立しています。その、目的と活動をご紹介します。
JDA-DATの目的
栄養・食生活支援活動を通じて、被災地支援を行います
JDA-DATは、国内外で大規模な自然災害(地震、台風など)が発生した場合、迅速に被災地内の医療・福祉・行政栄養部門と協力して、緊急栄養補給物資の支援など、状況に応じた栄養・食生活支援活動を通じ、被災地支援を行うことを目的としています。
そのためJDA-DATは、災害発生後72時間以内に行動できる機動性、大規模災害に対応できる広域性、栄養支援トレーニングによる専門的スキルを有する必要があります。これらは、研修によって養われています。また、食料の調達、移動手段の確保などを自身で行う自己完結性も備えています。
JDA-DATの活動
国や被災地と連携して支援活動に入ります
JDA-DATは、指定栄養士会(*1)ごとに設立されています。非被災地の都道府県栄養士会JDA-DATは、自ら、あるいは出動の要請(*2)を受けて、速やかに支援活動に入ります。
- *1指定栄養士会:JDA-DATを保持する意思と人員等を備え、日本栄養士会会長に申し出た都道府県栄養士会。
(2019年9月現在、15道府県) - *2出動の要請者:日本栄養士会、国(厚生労働省)、被災都道府県知事・被災地災害対策本部など。
情報収集を行い、的確な対応を心がけます
JDA-DATは被災地において、次のような人的支援、物的支援を行います。しかし、被災地ではライフラインや交通手段などの破綻も予想されるため、①の情報収集(的確な状況とニーズの把握)が支援活動の前提となります。
① 情報収集:
被災地の医療・福祉・行政栄養部門と連携し、情報の収集・伝達・共有化を行います。
② 緊急栄養補給物資の支援:
必要物資の内容・量を把握し、物資の手配・分配の指揮を行います。 特殊な栄養食品などについては、日本栄養士会に支援要請ができる場合もあります。現在、賛助会員と栄養補給物資提供の協定について、提供方法を含めて検討中です。
③ 栄養補給:
被災施設・避難所などで責任者の許可のもと、個人に対して直接栄養補給の支援を行います。
④ 対応の困難な被災者への支援:
医療機関への連絡などの対応を行います。
規模により、長期的支援も実施します
JDA-DATは、急性期の活動を基本としています。しかし、災害の規模や状況に応じて全国のJDA-DATにつなげ、長期的支援を行うこともあります。
平時には、防災活動などを支援します
平時においては、地域における災害対策活動などへ協力しています。地域防災の考え方は、自助・共助・公助を基本としています。JDA-DATでは、災害発生時に自助・共助・公助が円滑に行われるように、平時の防災活動を支援しています。
専用車を活用した広報活動を行っています
JDA-DATでは、災害支援医療緊急車両「JDA-DAT河村号」「JDA-DATトーアス号」を利用して、復興支援プロジェクトなどを行っています。これは、東日本大震災から年月が経ち、国民や日本栄養士会会員においても震災に対する意識が薄れつつあるのが懸念されるため、防災意識の醸成と被災地の1日も早い復興を願って、国民の皆さまに向けて行った広報活動です。平成26(2014)年1月18日に兵庫県神戸市を出発し、今も各地でイベントや研修会に参加しています。
「JDA-DAT河村号」「JDA-DATトーアス号」とは、キッチンボックスを搭載した車両(キッチンカー)です。平時は、各都道府県栄養士会でのJDA-DAT活動に利用し、災害時には、JDA-DAT災害支援医療緊急車両として活動します。
JDA-DATメンバーの資質担保のために、活動マニュアルを発行しています
JDA-DATの目的や役割を、メンバー各自が理解、共有化して支援活動を行うために、活動マニュアルを作成しました。
お役立ちデータ集
万が一の被災時に、栄養・食生活を支援するための管理栄養士・栄養士等専門職向けの解説資料と、「災害時の栄養・食生活支援マニュアル」、備蓄食料品を使った簡単レシピなど、避難生活を送られている方々の食生活の参考としていただくための資料です。
避難生活向けリーフレット・解説資料
- 栄養食生活リーフレット「避難生活を少しでも元気に過ごすために」
- 栄養・食生活リーフレットの解説資料(専門職向け)会員限定
- 衛生管理リーフレット「避難生活を少しでも元気に過ごすために」
- 衛生管理リーフレットの解説資料(専門職向け)会員限定
- 赤ちゃん、妊婦・授乳婦の方向けリーフレット「避難生活を少しでも元気に過ごすために」
- 赤ちゃん、妊婦・授乳婦の方向けリーフレットの解説資料(専門職向け)会員限定
- ご高齢の方向けリーフレット「避難生活を少しでも元気に過ごすために」
- ご高齢の方向けリーフレットの解説資料(専門職向け)会員限定
- 災害時における乳幼児の栄養支援の手引き
- 災害時に乳幼児を守るための栄養ハンドブック
災害時の栄養・食生活支援マニュアル
支援金のご報告とお願い
日本栄養士会では、災害発生時に支援金のお願いをさせていただいています。
報告:東日本大震災
東日本大震災では、会員である管理栄養士・栄養士をはじめ、賛助会員、関係企業・団体などから、平成23(2011)年10月31日の時点で、47,410,080円の支援金が集まりました。被災地の復興支援の一助として活用させていただいています。
報告:ネパール大地震
平成27(2015)年4月25日に、ネパールの首都カトマンズで、マグニチュード7.8の大地震が発生しました。救援活動を支援するため、ご寄付をお願いいたしました(5月22日~10月30日)。187,393円が集まり、国連WFP協会に寄付いたしましたことをここにご報告するとともに、ご協力にお礼申し上げます。
JDA-DATのメンバー募集
日本栄養士会では、JDA-DATリーダー1,000名の育成、JDA-DATスタッフ4,000名の養成を目指して、メンバーを募集しています。
JDA-DATメンバーには、各都道府県栄養士会で開催しているスタッフ育成研修に参加していただくことが第一要件となります。
スタッフ研修の開催予定については、ご所属の都道府県栄養士会へご確認ください。
JDA-DATに関するお問い合わせ
JDA-DATに関する基金、取材、運営に関するお問い合わせはこちら。
公益社団法人 日本栄養士会 JDA-DAT担当
Tel:03-5425-6555



