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【PR】【講演レポート #03】肥満症の"田中さん"を減量に導く、特定保健指導の科学的交渉術

「2019年度全国栄養士大会」講演レポート ♯03

講演名:スポンサード講演「肥満や糖尿病患者予備群の方の適切な食事プラン」
講師:佐野喜子氏(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授)

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 2008年に特定健診・特定保健指導制度が始まって10年以上が経過しました。管理栄養士は予防分野での保健指導の機会が増え、食事を作る担当の女性(妻・母)から男性本人に指導をすることが多くなり、専門知識に加えて対話力やマネジメント力が必要となり、その成果が求められています。そこで、神奈川県立保健福祉大学教授の佐野喜子氏に、対象者が自ら健康上の問題を認識して主体的に解決できるような言葉かけや、支援の方法を解説してもらいました。

肥満のリスクを伝えるのは義務

  「今日のセミナーのタイトルには"食事プラン"とありますが、具体的なたくさんのメニュー案を紹介するものではありません。普段から声を出して仕事をしている管理栄養士・栄養士の皆さんですから、このセミナー中も、自分で考え、声を出してもらいながら進めていきたいと思います」
 講演は、歯切れのよい佐野氏のこんな言葉でスタートしました。
 佐野氏は、行動科学的手法を使った特定保健指導の具体例を紹介するために、対象者として「52歳男性、会社員管理職の田中さん」の検査値と問診票をスライドで示し、会場の参加者に語りかけました。
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 「田中さんは、保健指導は何回も受けたのでもういい、と言っており、"現状維持で精一杯"と話しています。この場合、私たちが注目するべき検査値はどれですか? また、問診票のどこが気になるか、隣の人と話してみてください」
 検査値では、前年度と比べてBMIがアップ、腹囲もアップ、身長はやや下がる、拡張期血圧は上がり、コレステロール値も上がっている―。
 問診票では、35歳過ぎから体重増加、毎年ズボンがきつくなる、つい食べすぎる、ランニングは中断しがち、外飲みは週1回・あとは家で飲む・休肝日は週1回―。
 参加者の話し合う声がひと息つくと、佐野氏はポイントを挙げ、「田中さんはお酒を飲みすぎた次の日は焼酎だけにしている、と言っています。問題意識があるのは良いですね」とコメント。
 さらに、人の行動変容には「無関心期」、「関心期」、「準備期」、「実行期」、「維持期」のステージがあり、必要は感じているのに行動の変化がない「関心期」の人や、自分なりの行動変化が成果に結びつくかに疑問を感じている「準備期」の人には、具体的に頑張っているところや、良いところを見つけて、本人に伝えてあげることが大切だと説明しました。
 「田中さんは、体重増加に気づいており、つい食べすぎると認識しています。なのに、なぜ減量に踏み切れず、"現状維持で精一杯"なのでしょうか? 現状を維持したいのは、『改善しないリスクを理解していないから』です。田中さんには、健康障害が予測される内臓脂肪が過剰に蓄積された状態の『肥満症』であるとはっきり伝え、減量の必要性を理解してもらわなければなりません。働き盛りが脳梗塞や心筋梗塞で倒れるというのも、始まりは"肥満"です。そのリスクの説明責任は、管理栄養士にあるのです。海外では、指導対象者が発病した際に、保健指導者がリスクをきちんと説明したかどうかが問われることがあります。日本でもそんな時代がすぐそこまで来ています」

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飲酒の指導、苦手では?

 「これまでに増加した体重を実感してもらうために、身近なものに置き換えて説明することも効果的です」と、佐野氏は話します。
 例えば、会社員で10㎏増量した人には「コピー用紙500枚を5セット」、20kg増量した人なら「500ml缶ビール1ケースに350ml缶ビールを1ケース」というように、イメージしやすいものを例示します。農業に従事している人なら肥料の重さなど、その人の日常にあるもので説明すると、実感してもらいやすくなります。保健指導の場にペットボトルを用意して、その場で対象者に持ちあげてもらうのも効果的で、「腰が痛い・・・」と言えば、「減量は腰痛予防にもなりますね」と伝えられます。
 このようにして減量の必要性の理解が進んだら、ようやく、成果につながる改善行動を検討していきます。
 田中さんの場合、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているうえに、夕食の時間が21時ごろと夜遅いこと、またアルコール摂取によってエネルギーが過剰になっていることが問題として挙げられます。
 「夜遅い食事には内臓脂肪が蓄積しやすいというデータを示すこと。また、管理栄養士はアルコール量を"純アルコール量"で考えがちですが、一般の人は容量でイメージします。なので、摂取量と純アルコール量の換算表を作っておくのも必要ですね。皆さんの中には飲酒の指導が苦手な人もいて、1回の量がそれほど多くなかったり、休肝日があると聞けば、指導をしないこともあるのでは? それは反省してくださいね。短期間でも主食を減らす場合は、たんぱく質の摂取比率が高まるので、検査値の確認も重要です」

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ダイエットサポート商品の使い方も具体的に

 佐野氏は、摂取エネルギー調整を無理なく継続してもらうために、「ダイエットサポート商品」の活用についても話しました。田中さんの場合、夕食までの空腹感をまぎらわせて食べすぎを防止するため、夕方17時に、空腹時に飲むと胃の中で炭酸の泡を含んだゼリーがふくらむ炭酸飲料「コバラサポート」(*注)の活用を提案しました。
 「私も1週間ほど夕方にコバラサポートを飲み続けてみました。その結果、職場からの帰りに、夕食に何を食べようかという妄想から逃れることができました(笑)。空腹感が抑えられたことで、食事のことをあれこれ考えなくなったのです。こうした、ダイエットサポート商品についても、管理栄養士は単なる商品紹介にとどまらず、対象者の生活に即した活用法を提案することで、改善行動の継続性が高まります」
 成果につながる改善行動を検討する際には、最初に「なぜ生活を改善しなくてならないのか」を対象者に理解させ、納得してもらうことが重要。ここが解決されていない段階で、目標の設定や改善行動をうながすのは無理があります。
 また、改善行動の「妨げ」となるものは、個人的な要因と環境的な要因の二つがある、と佐野氏は指摘します。
 「改善行動の"妨げ"を減らすための提案が大事です。管理栄養士の皆さんは、共感することは得意なのですが、それを言葉ではっきりと伝えずに、目だけでうなずいて伝えている人が多いのではないでしょうか。保健指導の場において、管理栄養士は強い立場にいますから、対象者はとても敏感になっています。改善行動を"押し付けられた"と感じさせないように、前向きな言葉で対象者を評価していきたいものです」

 おわりに、佐野氏は、平成28年度の国民健康・栄養調査の結果から「糖尿病が強く疑われる者」は約1000万人で、1997年以降増加している一方、「糖尿病の可能性を否定できない者」も約1000万人と推計されていて、2007年以降は減少に転じている事実を提示しました。
 「糖尿病予備軍の割合は減少の傾向にあります。これは、管理栄養士の皆さんの力です。私たちの力をさらに全国で広げていきましょう」と、参加者にエールを送りました。

(*注)「コバラサポート」
 食物繊維のペクチンが空腹時に胃液と反応して、胃の中でゼリー状になる炭酸飲料。炭酸の泡を含んだゼリーがおなかの中でふくらむため、空腹感を軽減します。

講師プロフィール:佐野喜子氏(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授)
女子栄養大学栄養学部、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士後期課程卒業。東京都中野区保健所・教育委員会勤務を経て、2004年から株式会社ニュートリート代表取締役、(独)京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室研究員を歴任。2013年4月より現職。「身近な気づきを大切に!」をモットーに、その人らしさを大切にし、生活に密着した健康支援を目指し活動する。

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