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【講演レポート #09】強いチームになるために必要なコミュニケーション術

「2019年度全国栄養士大会」講演レポート ♯09

講演名:他職種連携を上手にするコツ〜周囲を巻き込み仕事を円滑に進めるために!〜
講師:新名史典氏((株)Smart Presen代表取締役)

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 管理栄養士・栄養士が仕事をする際には、医師や看護師、介護スタッフ、保育士や教員、調理師、事務職など、さまざまな他職種との連携が求められます。しかし、立場が違う者同士、意見がかみ合わないという経験は少なくないでしょう。仕事をするうえで、"譲れない"立場があるのはみな同じ。そんなときは、立場の背景にある「利害」に目を向けると、相手のことが見えてきます。本講演では、プレゼンテーションやリーダーシップについて年間300本以上の講演をしている新名史典氏に、他職種連携のコツを教わりました。

把握すべき4つのソーシャルスタイルとは?

 「仕事を効率的に進める人の条件って、何だと思いますか? いろいろあると思いますが、もっとも大事なのは、他者を活かす力。すなわち、人を動かす力です」
 新名氏が力強い声でこう語りかけると、会場に集まった参加者の顔が引き締まったように見えました。人を動かすと言っても、何がモチベーションになるかは、人それぞれ違います。ここで新名氏が示したのが、「ソーシャルスタイル診断」です。人を4つのタイプに分類し、性格や言動の特徴、好ましい接し方などを分けています。自分や相手がどのタイプに属するかを把握することで、コミュニケーションを円滑にできるようになるといいます。ソーシャルスタイルは以下の4つに分類されます。

A...コントローラータイプ(行動を重視し、意見をはっきり主張する現実派)
特徴:人や物事をコントロールすることを好む。仕切り上手。リーダーシップがある。
接し方:ダラダラ話さず要点を伝える。率直に語る。命令口調で言わない。

B...プロモータータイプ(チャレンジ精神旺盛で、歯に衣着せぬムードメーカー)
特徴:アイデアが豊富。盛り上げ上手。話すことが好きだが人の話をあまり聞かない。
接し方:積極的に話ができる雰囲気を作る。褒める。理屈のみ言わない。

C...アナライザータイプ(感情を抑えて冷静、堅実に行動する論理派)
特徴:情報収集や分析が好き。行動は慎重。正確でありたい。周囲を冷静に観察する。
接し方:要点だけじゃなく根拠や注意点を説明する。事前に情報を提供する。具体的に褒める。

D...サポータータイプ(人間関係を重視し、周囲と協力して進める友好派)
特徴:相手の求めることに応えたい。協調性が高い。はっきり指示すると行動が早い。
接し方:優しい言葉遣い。高圧的に迫らない。NOと言えないことがあるので注意する。

 それぞれのタイプは下図のように関係しあいます。左の2つのタイプ(AとC)はどちらかというと自分のペースで一人で仕事をすることを好み、右の2つのタイプ(BとD)はどちらかというと周囲に協力的に仕事をすることで安心感を得ます。2019090502_02.jpg

 「たとえば、上司が部下に仕事を任せる場合。成長欲求が高く、自分のペースで仕事をしたいAの人は、『君ならできる』、『君の成長につながる』と声をかけますし、そう言われるとやる気が出ます。貢献欲求が強いDの人は、『チームのためにやってほしい』、『一緒にがんばろう』と伝えてきますし、そのような言葉が励みになります」
 同じタイプ、または隣り同士のタイプは多少似たところがありますが、AとD、BとCのように相反する場合は、良かれと思ってかけた言葉が相手を困惑させる可能性があります。
 「任せた仕事について横から意見を言うと、AとCは『自分を信用していないのか』とネガティブな気持ちを抱くのに対し、BとDは『自分の仕事を見てくれている』とポジティブにとらえる傾向があります」
 このように、同じシチュエーションでも、タイプによりかけるのにふさわしい言葉が異なるということです。これらは上司と部下の関係だけでなく、同僚や他職種との間でも当てはまります。ソーシャルスタイル診断で、自分と他者のタイプを把握しておくと、相手が好む声かけや、嫌な思いをする話し方がわかるので、活用してみましょう。

交渉とは、折り合いをつけるためのテクニック

 相手はタイプが違うのかもしれないと思えば、考え方が異なるのも自然なことと受け止められるのではないでしょうか。立場の違う他職種ともなれば、対立する意見が出るのは仕方がないことなのかもしれません。
 そんなとき、話し合いを前に進めるのが「交渉」です。交渉には、「奪い合い的交渉」と「問題解決的交渉」があると、新名氏は解説します。前者はどちらか一方に利害が偏ってしまうのに対し、後者は両者が得をするWin-Winな関係を追求します。
 「奪い合い的交渉では、関係は長続きしません。お互いに気持ちよく、持続的な付き合いをするには、問題解決的交渉が適しています」と新名さんは断言します。

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 「交渉をすすめるうえで忘れてはならないのは、立場は対立しても、利害がすべて対立するとは限らないということです」
 新名さんがここで例として出したのが、「立てこもり強盗犯と警察」の事例。両者は対立する立場にありますが、実は「人質を傷つけたくない(強盗犯は罪を大きくしたくない)」という共通の利害が存在します。
 「日常生活では、誰もがそれぞれの立場で、通さなければならない、あるいは、通したい主張があります。しかし、それは相手にも同じことが言えます。それならば、お互いの利害が一致する点を見つけていきましょう」
 敵対視する感情を持っていると、まわりも自分も見えなくなりがち。交渉の場では、一歩下がって俯瞰してその場を見ることで、対峙する相手と自分との共通点が浮かび上がってくるといいます。
 そして、交渉においてもう1つ大事なことは、意見が一致しない場合の折り合いのつけ方です。両者の言い分が交わらないと感じるときには、その部分だけに限定して折衷案となる第三の案を提示し、相手の承認を得られるようにしていきます。Win-Winとは両者が100点満点の答えを得ることではなく、60~70点程度のイメージで双方が納得することです。
 「交渉とは、折り合いをつけるためのテクニックです。相手が譲れないポイントはどこか、でも妥協できそうな点は何かを探し出し、自分のそれと照らし合わせて、話し合いながら優先順位を決めていけばいいのです」
 話し合う際に大事にしたいのは、相手の感情に共感すること、そして、相手の不満や不安などのマイナス感情を取り除くこと。特に、相手が怒りの感情を持ったままでは、こちらの話をまともに聞くことは難しいのです。

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 「怒りは第二の感情と呼ばれています。なぜなら、その前に必ず怒りの原因となった第一の感情があるからです。第一の感情は何かを知り、それを取り除くことで、相手は自分のことをわかってくれたと感じ、怒りが収まるのです」
 相手の怒りの前の感情が何かが察知できれば、こちらから次にかける一言が変わりそうです。

他職種とチームになっているか⁉

 共通の目標に向かって進むことが、チームがするべきことです。ただし、「人が集まっただけではチームとは呼べない」と新名氏は言います。チームには大きく分けて2つのステージがあり、まずはチームを作る段階、その次にようやくチームになっている状態がきます。

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 「いくら優秀な人たちでも、ただ集まっただけでは個人の集合体であって、チームではありません。チームとは一緒に時間を共有することで、どんどん結びついていくものです」
 新名氏はここで、自身の経験を吐露しました。過去に優秀な人材を急きょ集めたことがあるものの結束できず、チームとして機能しなかった経験があるというのです。その話を聞き、会場内では思い当たる節があるように苦笑いを浮かべる人たちの姿が見られました。
 他職種と連携するには、お互いの仕事を少しでもいいので理解すること、そして、相手や状況に合わせて柔軟に動きを変えることが求められます。うまく機能しないと感じたら、まだチームを作っている段階なのかもしれません。
 まずは自分のソーシャルスタイルはどれか、かかわりが多い相手のソーシャルスタイルはどれかを把握し、話をしてみましょう。「立場は違っても、目標は同じ」。そう思えば、仲間意識が芽生え、強いチームになる日がもう間もなく来るはずです。

講師プロフィール:新名史典氏((株)Smart Presen代表取締役)
1997年、大阪府立大学大学院農学研究科博士前期課程修了。サラヤ(株)入社し、食品衛生、感染予防、栄養管理分野のマーケティング、商品開発業務に携わる。2011年、(株)Smart Presen設立。企業や自治体、学校等にて研修やコンサルティングを行う。

次回講演レポートは、9月12日(木)に掲載を予定しています。

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