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【専門管理栄養士座談会】日本の医療を補完するスペシャリストを育成、「専門性は、他職種・患者からのニーズにつながる」

 (公社)日本栄養士会は、高度な専門性を発揮できる管理栄養士の育成を図るため、厚生労働省からの委託事業として、平成25年度から、各学会との協働で「管理栄養士専門分野別人材育成事業」を実施。特定の専門分野で一定年数の実務に従事し、自己研鑽に努め、専門性の高いスキルを有する管理栄養士を専門管理栄養士として関係学会と共同で認定しています。 今回は、がん、腎臓病、摂食嚥下リハビリテーション、在宅分野のスペシャリストを招き、専門管理栄養士資格を取得した意義、取得後の変化などをうかがいました。

20200302_01.jpg上段左から、原純也日本栄養士会理事/がん病態栄養専門管理栄養士、本川佳子さん(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所)、須永将広さん(国立病院機構 渋川医療センター)/がん病態栄養専門管理栄養士、小田浩之さん(杏林大学医学部付属病院)/腎臓病病態栄養専門管理栄養士、宮司智子さん(医療法人新都市医療研究会「君津」会 南大和病院)/在宅栄養専門管理栄養士
下段左から、田中弥生日本栄養士会常任理事、寺本房子日本栄養士会常任理事、齋藤かしこさん(横浜栄共済病院)/腎臓病病態栄養専門管理栄養士、伊藤明美さん(藤田医科大学病院)/がん病態栄養専門管理栄養士、工藤美香さん(駒沢女子大学)/摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士

「きっかけは、"患者さんへもっと貢献したい"の一点でした」

寺本理事:みなさんは、どうして資格を取ろうと考えましたか?
須永(がん病態栄養専門管理栄養士、以下がん):私は当時、国立がん研究センター中央病院に勤務していましたので、国のがん医療の中枢である病院の管理栄養士として勤務しているならば、この資格を持っていることは必須だろうと考えました。
伊藤(がん):大学病院に勤務して、日々、栄養指導を担当しているなかで、薬の副作用やがんのステージが、患者さんの栄養療法にどのような影響を与えるのかなど、より多くの知識を得たいと思っていたからです。
小田(腎臓病病態栄養専門管理栄養士、以下腎臓病):私も大学病院に勤めており、腎臓内科病棟の担当や腎臓病チームの一員として働く中で、より専門的な知識やスキルを身に付け、腎臓病や透析治療中の方たちに必要とされる管理栄養士になって、貢献したいと思いました。
宮司(在宅栄養専門管理栄養士、以下在宅):在宅訪問栄養指導をしているなかで、自分の質の担保をしたい、さらにスキルアップをしたいという思いから、専門管理栄養士の資格を取ろうと思いました。
齋藤(腎臓病):私は病院の管理栄養士になって30年以上になりますが、長い間腎臓疾患を専門にしてきたので、専門管理栄養士になりさらにスキルアップをしたいと考えました。また、同じ腎臓分野に関わっている管理栄養士たちと研修で出会い、共に学びを深められることにも魅力を感じました。

「研修自体はもちろん、そこでの出会いが、実務にも生かされています」

小田(腎臓病):研修をとおして、同じ分野のさまざまな管理栄養士とのつながりができたことは働くうえでの財産です。その交流や情報交換が、実務にも生かされています。
齋藤(腎臓病):まったく同じですね。病院の管理栄養士はみんな「患者さんのために」と同じ方向を向いてはいますが、腎臓病の栄養指導に関わっているからこそ経験する、嬉しいこと、悲しいこと、大変なことが分かり合え、相談できる仲間と出会えたことは仕事にもプラスになっています。
宮司(在宅):取得するための研修の内容もとても濃かったです。講師陣もすばらしく、自分の普段の業務では関わることがない小児の分野もあり、知識の幅が広まりました。
小田(腎臓病):症例レポートを書くのは大変でした。でも、まとめることができるようになったので、自分の自信になりました。
宮司(在宅):私もレポートを書くのが大変でした。在宅の患者さんは、それぞれ嚥下障害を抱えていたり、腎臓病の方がいたりと多岐にわたるので、それぞれを理解したうえでレポートにまとめていかなければならず...。介護保険の知識が必要な点も大変でしたが、いい経験です。

「専門性のある管理栄養士は、他職種・患者からのニーズが高い」

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田中理事:専門管理栄養士を取得した後に変わったと感じたことはありますか?
伊藤(がん):当院では、がん病態栄養専門管理栄養士が化学療法室に常駐していますので、医師、看護師をはじめ他職種、そして患者さんも、がん専門の管理栄養士という認識をしてくれています。
須永(がん):当院でも専門管理栄養士を化学療法室に配置したので、配置後に看護師にインタビュー調査を行いました。化学療法室の看護師が患者さんに「栄養士さんの話を聞いてみる?」と栄養相談を誘ってくれているのですが、それまでは「栄養士の話だったらいいや」と断られることも多かったのが、「がん専門管理栄養士さんに聞いてみる?」という風に聞いてくれるようになり、「聞いてみたい、相談したい」という患者さんが増えました。都道府県知事免許である栄養士、厚生労働大臣免許である管理栄養士、その上の専門管理栄養士というように、国家資格の管理栄養士にさらに専門性が付いていることは、患者さんからの信頼度も高まっていると感じています。
宮司(在宅):私は、自分自身の気持ちの変化を感じています。以前から在宅訪問栄養指導は実施していましたが、資格取得後は、その専門としてやるべきことをやらなければならないという使命感が芽生えました。
工藤(摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士、以下摂食嚥下):私も。長年、急性期病院、介護老人保健施設に勤務して摂食嚥下障害をもつ患者さんに関わってきました。現在は大学の教員をしていますので、学生たちやこれから摂食嚥下リハビリテーション栄養の分野で活躍したい管理栄養士・栄養士たちに、この専門性を伝えていくことが使命だと思うようになりました。
齋藤(腎臓病):さらに上を目指していくことで医師や患者さんからの信頼も大きくなっているので、自分の専門性の名に恥じないようにしていきたいという気持ちが強くなりましたね。あとは、腎臓病病態栄養専門管理栄養士の地位向上のために、自分は後輩のために何ができるかを考えるようになりました。
伊藤(がん):職場の管理者側からすると、専門性の高いスキルを持つ人材が欲しいと考えるため、例えば、結婚や出産などで退職しその後に復帰する際にはこの資格を持っている方は有利になると思います。
工藤(摂食嚥下):行政の方や地域包括支援センターの方など、初めての方と一緒に仕事をする際に、肩書があると私が摂食嚥下分野のことができる管理栄養士であるとすぐに伝わるようになりました。
原理事(がん):当院では、ホームページに「がん病態栄養専門管理栄養士◯名」というように、専門管理栄養士の人数を記載しています。がん患者さんの患者会や教室には、必ず専門管理栄養士を担当させるようにしています。
小田(腎臓病):私も院内の集団じんぞう教室や市民向け講座の資料などには、自分の氏名とともに腎臓病病態栄養専門管理栄養士の名称を入れています。
須永(がん):がん病態栄養専門管理栄養士は、バッジを作り、白衣に付けるようにしています。また、栄養指導などで関わった患者さんから名刺が欲しいと言われることも多いのですが、名刺にも資格名を入れていますので、お渡ししたときに、より信頼していただけていることも実感しています。

「取って終わりではない、現場のなかで、さらに専門性に磨きをかける」

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田中理事:この先のスキルアップに大切なことや、心がけていることはありますか?
須永(がん):情報収集ですね。私は管理職のため、病棟のカンファレンスに参加することが少なくなり、臨床的なことについて、特に医師と話をする場面が少なくなってしまいました。ですので、若手の管理栄養士たちに「カンファレンスではどんなことが話題になった?」と聞くようにしています。若い管理栄養士も言語化することで勉強になりますし、私も臨床的な話題についてディスカッションする機会となり、ともに理解が深まるのではと感じています。
伊藤(がん):私もそうです。特にがん治療の分野は新しい治療法が次々に出てきますので、常に情報収集をするように心がけています。
工藤(摂食嚥下):同じく情報収集で、特に他職種と連携していくための情報です。食べることを支援するには食形態の調整や嚥下リハビリテーションを行うだけでなく、全身の評価をしています。それには、多職種で共通認識をもって情報交換をしなければならないので、多くの知識が必要です。医師の指示で食形態を調整するだけでは専門性が発揮できません。
齋藤(腎臓病):栄養相談の現場に携わり続けることです。同じグループ内で病院を異動したのですが、年間600件以上担当していた栄養相談が、200〜300件程度に減ってしまいました。患者さんと関わる経験は自分のスキルアップにつながり、それをまた患者さんに還元していくことができるので栄養相談経験は大切です。
宮司(在宅):自分がどんな管理栄養士でありたいかという目標を常に持つようにして、目指す姿に向かっていくように心がけています。
小田(腎臓病):より幅広い知識や高度な技術を持つように自己研鑽をすることは大事ですが、実際の栄養指導の場面では、その高度な話をストレートに患者さんに伝えることはありません。腎臓病患者さんの中には、栄養指導を継続していても、なかなか成果が出ない方もいますので、よりわかりやすい言葉、よりやさしい伝え方を選んで、支援ができるように心がけています。
本川(摂食嚥下)それぞれの専門管理栄養士の実践の成果を論文、報告書等にまとめてエビデンスを出せば、診療報酬の改定につながっていくのではないかと思います。
寺本理事:それぞれの専門分野で活躍されている他領域のみなさんから、多方面から話を聞く機会となり、とても刺激的でした。またぜひ、情報交換できる機会を模索したいと思います。

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