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時代の変化をとらえて今の最適を学び続け、地域の健康増進に貢献したい

トップランナーたちの仕事の中身#118

望月朋美さん(横須賀市民生局健康部健康増進課、管理栄養士)

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 横須賀市の行政管理栄養士としてプレコンセプションケアを含む健康増進事業に取り組む望月朋美さん。若い女性のやせ対策のための啓発動画の企画・制作、日本公衆衛生協会が実施する地域保健総合推進事業への参加等、新しい分野への取組について伺いました。

管理栄養士への道を決めた料理番組

 望月朋美さんが管理栄養士の道を進むきっかけとなったのは、小学生のときにテレビで見たある料理番組でした。プロの料理人が調理をする傍らで、管理栄養士が料理人に質問をしながら、健康的な料理の工夫を説明するというものです。
 「料理が好きで料理人にあこがれていましたが、この番組で初めて管理栄養士の存在を知り、自分にもおいしくて健康的な料理を多くの人に広める仕事ができるのではと思い、管理栄養士を目指したいという思いが生まれました」
 この思いは変わることなく、望月さんは管理栄養士養成校に進学。地元である横須賀市で管理栄養士の募集があったことから受験し、入庁しました。入庁後は横須賀市民病院栄養管理科に配属され、入院中や外来通院患者の栄養の管理・指導、チーム医療に携わりました。2010年からは、中央健康福祉センターで母子保健事業を12年間担当。2022年に保健所健康づくり課に異動し、健康増進事業に従事しました。
 2024年の組織改正に伴い現職の健康部健康増進課にて、プレコンセプションケアの推進を含む健康増進事業、後期高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施、2026年度より生活習慣病入院リスク者への保健事業を担当しています。
 「横須賀市ではプレコンセプションケアを生涯を通じて健康で過ごせるような生活習慣を促す取組と広義にとらえ、さまざまな情報発信をしています。母子保健担当課と連携し、プレコンセプションケア関係者連絡会議を開催することで、庁内のプレコンセプションケアの取組への理解や連携しやすい環境ができています。
 後期高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業の低栄養防止事業は、これまで1課で実施していた事業を2026年度からは、市内4健康福祉センターの専門職が行うことになり、各健康福祉センターの専門職が円滑に個別支援を行えるよう担当者と協力しながら事業を進めています。
 また、横須賀市はデジタル化を積極的に推進しています。健康支援においても生活習慣病入院リスク者への保健事業といって、医療・介護・健診データを個人単位で連結し、データ解析事業者のビッグデータとAIで『生活習慣病で入院する確率』の高い市民を早期に発見し保健指導につなげることができるようになりました。AI等を活用しながら、人にしかできない業務に集中できる体制づくりが進んでいます」

若い女性のやせ対策「新・デレラ大作戦」

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 望月さんが2024年から本格的に取り組んでいる取組の1つに若い女性のやせ対策があります。神奈川県立保健福祉大学(以下、保健福祉大学)の栄養学科学生と、同世代への効果的な普及啓発として作成した動画、「新・デレラ大作戦」です。
 「健康推進プランを検討する中で横須賀市の若い女性のやせが課題として挙がり、その対策として動画を作成しました。動画作成は入庁1年目の職員をはじめとした若手職員を中心に、食育推進担当で作成しました。若い当事者たちに響く内容にするためには、まず同世代のリアルな声を集めることが必要でした。そこで、保健福祉大学栄養学科の飯田綾香准教授に相談したところ、学生に動画の案を考えてもらうことになりました。学生のアイデアから浮かび上がってきたのがシンデレラ体重というキーワードでした」
 シンデレラ体重とは、童話のシンデレラのようにきゃしゃな体型で、若い女性の間で理想的な体重として話題にされることが多いものです。推進チームは内容案をもとに構成をまとめる際に、「シンデレラ体重を目指さないで」という意味を込めた「ノット!シンデレラ」を動画タイトルに考えていたといいます。

 「構成案をもとに学生にヒアリングをしたところ、『若い世代に否定形はウケない』ということを教えてもらいました。そこで、前向きさを打ち出すため、新しいシンデレラ像を目指すというコンセプトに方向転換し、タイトルは「新・デレラ大作戦」に変更しました。この他にも面白くない動画は5秒でスワイプする、やせたいのは顔が小さく見られたいから等、推進チームでは気づけない意見を出してくれました」
 望月さんは学生の動画出演についても飯田准教授の協力をあおぎました。
 「同世代の学生がナビゲーターとして登場することで親近感が湧くのではと思ったからです。撮影時は自発的に動きを考えたり、自然な言い回しにセリフを変えたりと臨機応変に取り組んでくれたおかげで、視聴者に響く内容になったと思います」
 動画作成では、若い世代が力を発揮できる環境を意識し、また、動画が完成すると普及活動として、さまざまな媒体に紹介・発信を依頼しました。
 「新しい試みとして、若い女性にダイレクトにアプローチできる普及活動を検討していたところ、学生から当事者世代が利用する施設として美容室というアイデアが出ました。このアイデアを実現するため、プレコンセプションケアにおける庁内のつながりから、他課の普及活動で美容室に協力してもらった実績があることが分かり、そのつてを頼り、今回も美容室の席と受付に二次元コード入りのポップを置く依頼をしました」

 2025年「新・デレラ大作戦」の動画は「第14回 健康寿命をのばそう!アワード」で厚生労働省健康・生活衛生局長優良賞を受賞し、市公式YouTubeでの動画再生数は、2026年5月25日現在で4話合計10,000回超視聴されています。
 「受賞したことで、より多くの人に知ってもらう機会にもなりました。また、市政の推進に多大な効果または貢献があった取り組みについて表彰するYOKOSUKA Invention & Good Action アワード2025も受賞しました」

行政管理栄養士のための、プランニングガイド作成メンバーに

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 2024年度から2025年度にかけ、厚生労働省委託事業である地域保健総合推進事業「誰一人取り残さない栄養施策の推進に向けた自治体における実践に関する研究」に他自治体管理栄養士とともに参加し、「誰一人取り残さない栄養施策をより実効性をもって推進するための戦略的プランニングガイド―未来を創る自治体管理栄養士のために―(以下、ガイド)」1)の作成に携わりました。
 ガイドは、理想とする未来と現状のギャップを把握したうえでバックキャストやアウトサイド等の思考を用いながら、あるべき姿を実現するための栄養施策を企画・立案できる実践力を付けるためのツールの1つと位置付けられています。
 「研究班では、全国で活用してもらえるガイドを目指し、具体例を入れることになりました」

 研究班メンバーは作成中のガイドの手法案を自分の業務で実践し、その結果と修正点を研究班にフィードバックし、さらにガイドを練り上げました。望月さんは若い女性のやせ対策の企画・立案に活用し、フィードバックしたといいます。
 「若い女性のやせ対策という課題解決のためにさまざまなステークホルダーと連携、協働した経緯を提示することで、他自治体でも活用できる実践的なガイド作成に寄与できたと思っています。また、有識者の助言や、他自治体行政管理栄養士の知見を学べる貴重な機会となりました」
 望月さんは業務目標を達成するには、スキルアップが不可欠だと考えています。
 「行政の制度やエビデンス、地域資源は変化します。今の最適とはなにかをとらえ、専門職としての知識のアップデートが必要です。昨年、認定公衆衛生専門管理栄養士を受験したのもそのためです。住民のニーズをつかむためにも、相手に伝わ
る言葉で対話できるコミュニケーション力と、関係者と協議して協働していく調整力を身に付け、住民の健康増進に貢献できるよう努めていきます」

プロフィール:
2006年東京農業大学応用生物科学部栄養科学科卒業。同年、横須賀市に入庁。横須賀市民病院栄養管理科、中央健康福祉センター、保健所健康づくり課を経て2024年度から現職。神奈川県栄養士会所属。

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